オーディオ 試行記録

多くの個人プログやネット記事に助けられました。私の経験を還元したくです。

個人的メモ。イヤーパッドのサイズと装着感。

前回の記事をアップロードしてから半年近くが経ってしまいました。
他の方のお役に立てそうなトピックが見当たらなかったのが筆不精の理由のひとつではあるのですが、それ以上に私事で生じたトラブル対応に追われ、執筆にまとまった時間を割けなかったことのほうが大きいです。
悲しいことに、この私事のせいで記事の執筆どころかオーディオを楽しむ時間さえも碌にとれていませんでした。年後半にかけて取り戻していきたいと思う今日この頃です。

今回の記事は、装着感の目安にしているイヤーパッドの写真を感想と共に並べただけものというお粗末なものです。個人的なメモとして書き殴り、下書きフォルダに置きっぱなしにしていました。これを公開したら「参考になった」とおっしゃる方がいるかもしれないと思い、加筆してみました。
「このサイズを執筆者は小さいと言っているのか。私に問題ないサイズだから、執筆者がキツめだというものが私にはちょうど良いかもしれない」というような相対評価の材料にでも使っていただければと思います。

イヤーパッドの外径・内径

新製品のヘッドフォンが私の耳に合うか、イヤーパッドのサイズが大丈夫かどうか判断するために書き残したものです。とりあえず外径と内径の数値があると「このヘッドフォンのイヤーパッドは私には合わない。音の評判が良くても買っちゃダメだ。」とブレーキを踏むことができます(笑)。
また、改造用としてサードパーティーイヤーパッドを買う際にも「外径と内径が何ミリか」を最も重要な検討材料としているため、これを参考にしています。

SONY MDR-Z1R のイヤーパッド

外径110mm、内径70㎜ぐらいです。この大きさがあると私の耳でも快適です。

内径が大きいと、顔と耳が小さい女性などは装着後にずれる可能性があります。ずれを防ぐためだと悪戯に側圧を高くすれば、こんどは締め付けによる痛みが生じ長時間の装着に適さなくなります。内径の拡大には、イヤーパッド形状やヘッドバンド構造に対する工夫が求められます。「安易に大きくすると却って装着感が悪くなる。それをイヤーパッドやヘッドバンドの工夫で改善できるとは限らない。だからやめておこう。」と考えるメーカーがあってもおかしくありません。

また、イヤーパッドの外径が大きいということはドライバーが大きいことを意味することも多く、このサイズの製品は高級機になりがちです。廉価でこのサイズのものがあれば、それは貴重だと思います。

SONY MDR-Z1R のイヤーパッドサイズ

この機種はヘッドバンド交換の記事で写真を撮っていますので、興味のある方はご参照ください。

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FOSTEX TH909 のイヤーパッド

外径100mm、内径65㎜ぐらいです。このサイズが私の耳で大丈夫なほうのボーダーラインです。これより小さな高級機の購入には注意信号が灯ります。価格を抑えた製品ですと、小さめのイヤーパッドでも「ダメだったら規格外のイヤーパッドで改造すれば…」と腹を括ってトライしてしまいますが (苦笑)。

ところで、これより一回り小さなサイズの高級機というのは意外とあります。メーカーの方におかれましては「このサイズがボーダーライン」「これより小さかったら、どんなに音が良くても装着時の苦痛に耐えられないので買わない」という消費者がいるということを頭の片隅に置いていただけると有難いです。

FOSTEX TH-909のイヤーパッドサイズ

この機種は過去の記事で触れたことがございませんでしたので、写真代わりに商品リンクを貼っておきます。他の記事で「複数のヘッドフォンを所有し気分で選んでいる。使用頻度が低いものは手放す。」と記したことがございますが、こちらの機種はトップクラスの使用頻度でして、手放すことは当分なさそうです。

FOSTEX T60RP のイヤーパッド

外径100mm、内径60㎜ ぐらいです。このサイズだと私にはアウト、10~20分で耳が痛みます。後ほど別枠で写真を貼りますが、このパッドで耳が痛む原因はパッドの厚さ (薄さ) にもあります。内径60㎜ は私にとって「基本的には装着できない大きさだが、厚ければ何とかなる可能性もある」というサイズです。

FOSTEX T60RP

イヤーパッドのサイズが合わず耳が痛む T60RP ですが、サードパーティー製のイヤーパッドに変え快適に使用しております。主な使用シーンは就寝時のベッドです。
就寝時に使用する場合、横になった状態で使用するうえに半分眠っているような状態で外すことが多々ございます。もしかしたら寝ぼけてヘッドフォンをサイドテーブルから床に落とすかもしれませんし、イヤーパッドの皮脂拭き取りは確実に翌朝までしません。
そのため「傷んでもいい」と割り切ったものしか持ち込めず、結果として比較的安価な T60RP がその役割を担っています。

過去 T60RP に関する記事は書いたことがございませんが、スティック型DAC「AK HC2」の紹介時に使用し写真を載せていました。このときの写真がイヤーパッドを取り替えた後の状態でしたのでリンクを貼ります。興味のある方はリンク先の写真をご覧ください。所有していらっしゃる方でしたら純正と比べ厚いの一目瞭然かと思います。

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HIFIMAN SUNDARA Closed-Back のイヤーパッド

既にイヤーパッド交換を記事にしておりますので詳細は省略いたします。外径100mm、内径60㎜ 切るぐらいです。もちろん私の耳にはアウトです。典型的な失敗でした。

HIFIMAN SUNDARA Closed-back のイヤーパッド

しかし、サードパーティー製のイヤーパッドに変え装着感を向上できたため、執筆時点でも居間のヘッドフォン棚に残っております。所有していた他のヘッドフォンの音と似ていなかった点と、たまに聴きたくなるタイプの濃い音だった点も良かったです。同じ平面型の T60RP とは好対照です。
イヤーパッド交換の記事はこちらです。

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イヤーパッドを分解したと上の記事で書きましたが、分解すると二度と計測ができなくなるために厚さを測り写真に残しておりました。

分解する前に測った HIFIMAN SUNDARA Closed-back のパッドの厚さ

その他 サードパーティー製のイヤーパッド

色々と買っては失敗し破棄してきたサードパーティーイヤーパッドですが、まだ利用できそうだと破棄せず残したものが若干ございます。それらを撮影しました。

Chic Tuant イヤーパッド for FOSTEX (フォステックス) TH600 TH900 etc.

外径と内径は TH909 のイヤーパッドとほぼ一緒です。

Chic Tuant のイヤーパッド

こちらのイヤーパッド、内径は問題ないのですが薄いのが私にとっての弱点です。
ATH-WP900 に装着する記事で紹介しましたので、興味ある方はご覧ください。

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Brainwavz のイヤーパッド

内径が 70mm ぐらいあるイヤーパッドです。現在わたしが使用しているヘッドフォンの過半にこのメーカーのイヤーパッドが装着されています。

Brainwavz のイヤーパッド

様々なイヤーパッドを試しても十分な装着感を得られず、サイズが合わないのを承知で無理に変形させ装着したこのイヤーパッドが私にとって最も良かったというケースが多々ありました。
このイヤーパッドについて記事で最初に紹介したのは FOCAL STELLIA のときでした。興味ある方はご覧ください。

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YAXI LTH-900

外径と内径は FOSTEX TH909 のイヤーパッドとほぼ一緒です。穴の形状と厚さが違います。

YAXI LTH-900

もしも、耳の上部で 2~3mm 程度、耳の後(裏)で 2~3mm程度厚いものだったら私の耳でも使いたくなるであろうう、個人的に惜しい製品です。過半の方はこのサイズで問題ないのではないでしょうか。この製品を最初に紹介したのは HIFIMAN SUNDARA Closed-Back の記事でした。

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イヤーパッドの厚さ(高さ)

「装着中に耳がドライバに押され続けると痛くなる」というのは、薄く小さいヘッドフォンを使用したことのある方なら説明不要かと思います。
この痛みを避けるには、イヤーパッドの内径が大きいだけでなく厚いことも重要です。特に側圧が高い・強いヘッドフォンだとイヤーパッドを潰すような力が加わるので、その分の厚さが必要となります。
この文章を書く前にレビューサイトを軽く眺めてみたのですが「耳が当たって痛い」という書き込みのあるヘッドフォンが散見されました。

私にとってボーダーラインである FOSTEX TH909 のイヤーパットを基準に、厚さの比較、いや薄さの比較ができる写真を撮りました。ダメだった方から順に紹介します。

YAXI LTH-900 , FOSTEX TH909 , FOSTEX T60RP の三種比較

画面上方が耳の上になるよう並べています。TH909 と T60RP は耳の後方(裏側)が厚いので、左右対にしてあります。LTH-900 は耳の前後での厚さ変化はなく上下だけです。

(左) LTH-900 , (中央) TH909 , (右)T60RP

画面左 LTH-900 の上下傾斜は耳上方の厚さを犠牲にして実現していることがわかるかと思います。右の薄いイヤーバッド T60RP の上部と変わらない薄さまで削っています。これが、耳の上部が痛む原因です。

FOSTEX TH909 , Chic Tuant の比較

どちらも耳の後方(裏側)が厚い形状のため、左右対にして並べています。

(左) TH909 , (右) ChicTuant

材質や価格が全く違うので写真から伝わる質感の差は致し方ないです。
厚さは写真の見た目以上に違います。私にとってダメな厚さどうしではありますが、T60RPとの比較写真も貼ります。

(左) T60RP (右) ChicTuant

FOSTEX TH909 , Brainwavz の比較

ダメだった方の薄さの比較から大丈夫だったほうの厚さの紹介に切り替えます。

Brainwavz との比較です。同社では耳の前後の厚さが同じものも販売しておりますが、わたしが購入しているものは全て耳後方が厚いものです。

(左) FOSTEX TH909 , (右) Brainwavz

厚さの違いは一目瞭然です。メジャーで厚さを測ってみたところ耳後方の厚い部分は 35mm ぐらい、手前の薄い方でも 20mm ぐらいありました。このぐらい厚いと私の耳でもドライバに接触する心配は皆無です。

おまけ SONY MDR-Z1R 純正と Dekoni との比較

DEKONI から販売されているサードパーティイヤーパッドSONY MDR-Z1R 用のものを破棄せず保管してありますので、写真に収めました。

(左) 純正 (中) Hybrid (右) Sheepskin

DEKONI のものは SONY の純正と比べて仕上げが直線的です。DEKONI のものにも十分な内径と厚さがあり装着感は悪くないです。ですが、凹凸の付け方が曲線的な SONY 純正のほうが、肌に対し圧が分散して良い装着感です。繰り返しますが、DEKONI のものが悪いわけではないです。DEKONI が SONY 純正の半額だと思うと、相応な仕上がりなのではないかと思います。

さいごに

イヤーパッドの内径が 60 mm というのは、普通といいますか業界標準といいますか「とりあえず 60mm で」と乾杯のビールみたいな表現を使いたくなるサイズです。モニターヘッドフォンで有名なオーディオテクニカ ATH-M50x や SONY MDR-CD900ST 等が 60mm です。内径 60mm で薄く、長時間使用すると耳が痛むというところまでがセットで業界標準。スタジオ作業で借りたモニターヘッドフォンが、イヤーバッドがくたびれ気味の MDR-CD900ST だったりしようものなら、耳へのパワハラを受けたようなものです(苦笑)。
仕方ないのは承知しています。モニターヘッドフォンは音を楽しむための道具ではありません。今ちょっと弄ったリバーブがどの程度効いているかを耳で確認する、という「作業用」の道具。ドライバと耳との距離は出来るだけ取りたくない、変に空間があったら微妙な違いを聴き取りにくくなるので。もし楽器ごとの位置関係、空間定位が知りたかったらモニタースピーカーでチェックする。モニターヘッドフォンにはそれを求めない。作業を完遂するためには耳の痛みも我慢する・・・。

この装着感に対する低い要求水準がベースにあり、これより数ミリでも大きければ装着感が良いとかリスニング向きというキャッチコピーが付く、という傾向を感じます。音を鳴らすドライバはここ 10 年で凄く進化していますがイヤーパッドは取り残されているような。
イヤーパッドの内径が 62mm、厚さが24mm で低反発なら良い装着感なのかというと、そうではないだろうと私は思うのです。ちなみに、この数字は FOCAL のイヤーパッドです。「とりあえず 60mm」に 2mm のおまけつけてフルグレインレザーで包んで「優れています」は金持ちを騙す見掛け倒しだよ、と言いたいです。*1

この見掛け倒しを抜け出して、ゼロベースで装着感を追い求めたものには敬意を表したいです。前述で SONYMDR-CD900ST を例に厳しい言い方*2をしましたが、一方では MDR-Z1R には深い敬意を表します。過去、HIFIMAN の SUNDARA Closeb-Back では残念な思いを吐露致しましたが、ARYA にはそこまで残念な印象がございません。FOSTEX TH909  のイヤーパッドは素晴らしいと思いますが、同じく漆塗りのイヤーカップを持つ TH900 用イヤーパッドの 60mm 正円というのは如何なものかと思います。

耳に何時間も添い続けるイヤーパッドは重要なバーツです。ドライバに負けない進化を願ってやみません。

*1:厳しい言い方をしておりますが、FOCAL STELLIA は今でも愛用しております。故の激励でございます。

*2:SONY製品は多くを愛用しております。故の激励でございます。