オーディオ 試行記録

多くの個人プログやネット記事に助けられました。私の経験を還元したくです。

WiiM Mini 用電源の工作

先日「おなじ用途のものを二つ。お金の無駄遣い。」「活用方法はこれから考える。」と記しました WiiM Mini につきまして。素のままでは NODE 2i の陰に隠れ本当にお金の無駄遣いで終わりそうでしたが活用する目途が立ちました。それなりに使えそうな工作なのでご紹介します。

WiiM Mini 自体のご紹介はこちらをご覧ください。開封写真や専用アプリの挙動、 Alexa 連携で Amazon Music を使用した際の挙動などを記しております。

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工作した電源と WiiM Mini

素のままの WiiM Mini だと私には不要だった

モノを買う前でしたら価格という大きな利点のある WiiM Mini ですが、既に買って所持している NODE 2i と WiiM Mini との比較なので、私にとって価格メリットは意味のない話です。
NODE 2i を使っていて不自由に感じていたのは、電源スイッチが無いことと筐体サイズが大きいこと。キャリアブルに使用したい私にとって痛いポイントでした。
前者は電源周りの改造時にスイッチを後付けして克服。後者は「出前の岡持ち」のようなものを制作、DACとセットで持ち運びできるようにして一応は克服しました。しかし、筐体サイズを小さくできたわけではないので満足できる状態とは程遠く妥協の産物という状態でした。

現状の WiiM Mini ですと、出前の岡持ちとはいえ DAC と一緒に持ち運び好きな所で使用できるようにした NODE 2i と比べ可搬性の点で劣ってしまい、全く使う気になれません。しかし、せっかくのこの小さな筐体。もし「岡持ち不要」で持ち運べ電源スイッチつきに出来たら使う気になれそうです。

理想は派手に改造してバッテリー駆動の WiiM Mini を作ることなのですが、安く簡単に済ませたいという気持ちが勝りました。「WiiM Mini を分解し、別途制作したバッテリー付きの箱に収める」という野望は早々に捨て、本体とバッテリーをマジックテープか何かでくっつけるだけのものを作ることにしました。

部品選定

ノープランの工作で仕上がりの良し悪しに関する決め手となるのは、たいてい部品選定です。理想的なサイズかつ加工がしやすいものが見つかれば勝負あり、成功したも同然です。

WiiM Mini を上に載せられてそれなりの見た目になりつつ、スイッチを取り付ける方法がありそうな電源を探しました。モバイルバッテリーで良さそうなものはないか。電池ボックスだとどうか。スイッチをどう取り付けか。USB ケーブルをどう這わすか・・・。良さそうなパーツを見つけては工作方法や完成形を想像し、部品価格を確認します。脳内シミュレーションを続け「これでやってみるか」と選んだものは以下でした。

電池ボックス

スイッチ付きなのが嬉しいです。そして何より安い。レビューに「断線し、はんだ付けし直した」とあったのは私にとって欠点ではなく利点です。ケーブル交換できるということですから。また「スイッチを上にすると電池ボックスの蓋は下になる。」とも記述がありました。願ったり叶ったりです。スイッチのある面に WiiM Mini を載せマジックテープで接合してあったとしても、電池の出し入れができます。

USB Type-C ケーブル

自作用の USB Type-C コネクターとケーブルを別々に買うことも検討しましたが、既製品をカットしたほうが割安でした。コネクタの根元の見栄えもいいですし。長さは要らないため短いものを選びました。WiiM Mini の同梱物をカットすれば購入不要ですが買ってしまいました。

電池

今までニッケル水素乾電池はパナソニック社のエネループしか買ったことがなかったのですが、何でも良かったので初めて Amazon の電池を買ってみました。これで痛い目見たらエネループに戻すと思います。

工作前準備

何の予備情報もなく初めて買った部品でやる「行き当たりばったりの工作」なので、どんな風な段取りで進めようか届いた部品を触りながら考えます。開封し、初期不良のチェックをしていれば工作方法や段取りのイメージはできるでしょう。

USB Type-C ケーブル

開封

きちんとしたパッケージに収められていました。裏面も日本語です。

すぐにカットするし、データ転送に使う予定もないしで、申し訳ない気持ちになります。

購入した USB Type-C ケーブル
動作確認

モバイルバッテリーと WiiM Mini を繋ぎ、初期不良でないかだけ確認をしておきます。3本とも使用できました。ついでに、電圧と電流を計測しておきました。Amazon Music HD を Alexa 経由で操作、サンプリング周波数の違う曲を切り替えながら電流を見ましたが、結構ふらつきました。160mA ~ 230 mA ぐらいですかね。このボディサイズですから、こんなものかなと思います。 

ケーブルの初期不良チェックついでに電圧と電流を測る。

電池ボックス

開封

電池ボックス。パッケージもきれい。

工作用の安いものですが、裏面には必要最低限の説明も日本語で書かれております。こちらも USB ケーブル同様すぐに分解される運命ですが、工作用なので申し訳ない気持ちにならずに済みます。

完成イメージ作り

とりあえず電池ボックスに WiiM Mini を載せてみます。

電池ボックスに WiiM Mini を載せる。

ちょっとだけ電池ボックスが小さかったです。あと 1cm あれば。でも、まぁ悪くないです。
やるべき作業の注意点は見えてきました。外す想定で作られていない電池ボックスの配線をいかに上手に外すかと、USB Type-C ケーブルを電池ボックスに「しっかりと丈夫に」通せるかの二点です。穴が小さくてケーブルが通せないときはヤスリで広げればいいですが、大きすぎた際の固定方法は一工夫要りそうです。いくつか手段をイメージしつつ確認作業を続けます。

配線を外せるかの調査

電池ボックスの蓋を開けてみました。

電池ボックスの蓋を開けたところ。三か所の溶かした痕跡。

スイッチと配線の接合部分には蓋がしてあります。ねじ止めのような、楽に開けてメンテできる作りにはなっていません。部品点数を極力減らし安く販売できるよう作られたパーツですから当然でしょう。

このコストダウンの仕組みは「溶かして外す正攻法のやり方」を知らない私とって、今回の工作で最も失敗するリスクのある壁になりました。蓋を壊してしまわないよう祈りつつの作業になります。普段使用しないハンダこての「こて先」にペン先のような円錐型のものがあるので、それを使って溶かしながら外してみました。ハンダこてで「少し溶かしては力を加えて」を繰り返したら無事外れてくれました。

ハンダこてで、ちょっと溶かしては力を加えを繰り返し外す。

蓋の穴に本体の軸を通し、接合部を溶かして一体化させるという造りだったようです。
構造を理解したうえで、残りの二か所も頑張って外します。

電池ボックスの蓋を外したところ。

無事に蓋を外すことができました。これで当初のイメージ通りに配線する挑戦権を得ました。成功する確約はないので「挑戦権」です。また、スイッチがマイナス側にあるとかケーブル長はマイナスを長くする必要がある等の追加情報も得ました。

動作確認

このタイミングで動作確認をしました。既に蓋を外しているので確認も何もないのですが、この時点で正常動作を確認しておけば、工作後に動作不良だった際の原因究明の手間は減ります。

電池ボックスの動作確認。ちょっと電圧が高い。

問題なく動作しました。ちょっと電圧が高いですね。4本とも充電直後なので、こんなもんでしょうか。

工作

部品選定と準備で工作の 6 ~ 7 割 は終わったようなものです。あとの 3~ 4 割は作業ミスに注意すること。今回の難易度はさほど高くありません。とはいえ、一つだけ残った懸念点は「USB Type-C ケーブルの太さと電池ボックスの穴径」を確認していないことです。ですが、確認を面倒に感じてしまったので作業中に適当に対処します。

USB ケーブルのカット

ニッパーでパツンと切ります。使用する USB Type-C 側が 20cm ぐらいになるように切りました。
使用しない USB-A 端子側のケーブルを使い、配線色とピンアサインの関係を調査しておきます。結果、標準的な配線色で接合してありました。配線の色が何色だろうとピンアサインが正しければ正常動作をするのが電子デバイスというものですが、配色が一致してると何故か安心します。

ピンアサインとケーブル色の確認。

電池ボックス内の配線外し

最初から電池ボックスに取り付けてあった配線を外します。

熱で溶けやすいプラスチック故、できるだけパーツを外して処理したいのですが、スイッチだけは外したあと元に戻せると確信が持てなかったので諦めます。外していないスイッチ側の作業では、誤ってハンダこてでケースを溶かさないよう注意が必要です。

配線を外す。プラス側はケースから外し、マイナス側は外さずに。

このあと USB Type-C ケーブルを這わすわけですが、元のものより太いものを這わすので予め空間の使い方を想定しておきます。

配線を外した後の確認。空間の使い方をイメージしておく。

蓋のスイッチ側には出っ張りがありますので、そちらに配線の余剰があったりすると蓋が閉まらなくなります。逆側は空間に余裕があるため、ケーブルの固定などの用途で上手に活用したいところです。

USB Type-C ケーブルを挿入

穴にカットした USB Type-C ケーブルを挿入します。

USB Type-C ケーブルを挿入

幸いなことに「電池ボックスの穴にケーブルは通せるがキツい」という理想的な状態でした。電池ボックス内で太いケーブルを曲げた状態をつくり固定化もできます。これは運が良いとしか言いようがありません。

電池ボックスの外を目分量で適当な長さ ( 12~13cm ) にし、残りの内側はスイッチに届く長さにしてカットします。

データ線の加工

使用しないデータ線は、バッテリー用途の規則に準じて処理します。低速充電器として振る舞う際のデータ線は短絡ですので繋いでしまいます。

データ線の処理。短絡しておく。

電池ボックス内の「使える空間」に収めたいので、線長は極力短くします。ハンダで接合した後は収束チューブで被膜しておきます。

電源用の配線加工

残った電源用の配線を加工してしまいます。電池ボックスで元からついていた赤と黒の配線と同じようように接合するだけです。

元の配線と同じように接合。赤は電極に、黒はスイッチに。

赤い配線は 5V(+) ですので電極に接合します。余らせすぎず短すぎず適当な塩梅で処理します。GNDの黒い配線は空きスペースのないスイッチ側に繋ぐものなので、ビシッと適切な長さで処理します。上図のようにケース内に配線を這わせ、この長さと決めたところでパツンと切ってハンダ付けします。

ハンダ付けが終わったら動作確認します。無事に WiiM Mini が動作したらほぼ作業完了です。

蓋閉じ

外した蓋で閉じます。もともと溶かして閉じていたもの故、同じように溶かすのが王道でしょうが、私はホットボンドを置くだけにしました。「とりあえず使っていて外れない程度には止まっていて、いざとなったら簡単に外れる」という程度でいいかなとの考えたからです。もう二度と開けないなら接着剤でもいいかなと思います。

蓋を閉じる。私はホットポンドで止めました。

蓋や軸に溶けた際の変形や痕跡が残っていたら、削ったり取り除いたりして整えて蓋をしてしまいます。

完成

これですべての作業が終わりました。あとは便利に使えるかどうかです。

完成した WiiM Mini 用電池ボックス。

電池を入れたらこんな感じです。

電池抜きなら単価 500円ぐらい、安い部品の寄せ集めの割に悪くないです。このバッテリーで WiiM Mini を使ってみます。

WiiM Mini を載せる (左 中)。ポタアンに接続 (右)。

WiiM Mini を載せてみました。ちっちゃくて可搬性良さそうな感じです。あとでマジックテープで貼れるようにしてしまいます。

最後に短い TOSLINK ケーブルでポタアンに繋いでみました。これなら使用機会が増えそうです。NODE 2i は岡持ちを卒業させ据え置きにでもしましょうかね。