オーディオ 試行記録

多くの個人プログやネット記事に助けられました。私の経験を還元したくです。

HiBy製 DAP で勝手に音量最大になる現象について [ 2023/10/11 現在 ]

ソフトウェアの更新が入った時点で昔話になってしまうという旬の短い話題です。2023/10/11 時点の情報ですので、お読みになったタイミングによっては「過去の教訓」のような感覚でお受け取りください。

[2023/10/13 追記]
Amazon Music アプリ、バージョン 23.13.2 が配信されていたので更新しました。
このバージョンにしたところ、記載の現象は再現しなくなりました。
やはり旬は短かったです(笑)

掲題の日付時点で、いくつかの HiBy 製 DAP音楽を再生したら最大音量で鳴り始めた! という危険極まりない現象が発生しています。

結論からいいますと、直接的な引鉄は Amazon Music アプリです。内部の挙動としては、Android OS 固有のボリウム管理の仕組みと各 DAPメーカーが行っている Android OS へのパッチ、そして Amazon Music アプリが使用している API との関係性によるものが原因だと推定できます*1

いやぁ、Amazon はほんとうに困ったものです。これがあるので、どの DAP メーカーも Amazon Music 対応とは言わないんですよね・・・。この件に限らず過去に何度も残念挙動が Amazon Music アプリでは生じています。やっぱりね、とか、またか等と思う方は少なくないでしょう。

それでは、現象を書いた後にお小言的な話という流れで記します。

「音量が勝手に最大」現象の再現手順

最初に申し上げたいのが「Amazon Music アプリを入れていない人には無関係な話」ということです*2。かくいう私も、ふだん購入した音源をメインで聴いているので、随分前から現象は発生していたが気付くのが遅れ今になったのかもしれません。

再現環境

現象の再現に使用した DAP はもちろん HiBy R6 Pro II です。再現確認に使うソフトウェアのバージョンを以下の画像に示します。

ソフトウェアのバージョン。(上) Android OS (中) HiBy Music (下) Amazon Music

操作手順

前準備

いちど正常動作する状態に戻す必要があるため、Amazon Music アプリを殺しておきます。

(左) アプリ終了 (右) バックグラウンド強制停止

画面下からのスワイプ操作や□ボタンタップでマルチタスク画面を表示し、Amazon Music アプリを終了しておきます。さらに、ホーム画面で Amazon Music アイコンを長押ししアプリ情報画面を呼び出し、強制停止を実行してバックグラウンド処理も止めます。

次の操作は不要なものですが、再現実験時の原因切り分けで可能性の選択を狭めたいという方は実施してください。全ての音量を 100 以外の数値にしておきます。
HiBy R6 Pro II の音量は以下の 5 つがあります。

  • Line Out 4.4mm 用
  • Line Out 3.5mm 用
  • Phone Out 3.5mm 用
  • Phone Out 4.4mm 用
  • 最大音量制限用

これらの数値を全て 100 以外にします。最後の「最大音量」は設定画面のオーディオ設定のなかにあります。その他は、各端子にプラグを差したとき左上に表示される音量です。各端子の音量を別々に記憶しているわけです。便利です。よく出来てますね。但し、4つまとめて弄れる画面 UI は存在しないので、都度プラグを差して操作する必要があります。
なお、最大音量の制限値は全端子共通、端子ごとに変えることは出来ませんです。
これら 5 つを全て 100 以外にしておけば、音量が変わってしまったときに「最大になってしまったのか、別の端子の音量に変わってしまったのか」の区別がつきます。わたしは AK PA10 使用時に Line Out の音量を 100 にしているので、念のためにこの仕込みをしました。結論として、別の端子の音量を拾ったわけではなかったです。

最後に HiBy R6 Pro II を再起動します。再起動状態から実験をスタートしますので、まだアプリを起動しないでください。

これで準備完了。正常動作する状態に戻りました。

正常な状態から最大音量発生へ

まずは HiBy Music アプリで音楽を楽しんでみてください。3.5mm でも、4.4mm でも構いませんです。爆音が恐ろしい方は耳にイヤホンを入れないで再生し始めてください。何の問題もなく楽しめると思います。絶賛執筆中の私も、この状態で既にアルバム 2 枚聴いています。

HiBy Music アプリで聴く。何も問題なし。

次に、音量最大の現象を発生させます。危ないため、とりあえず耳からイヤホンを外します。HiBy Music アプリで再生している音楽も止めておきましょう。一時停止、アプリ終了の何れでも構いません。

ホーム画面の Amazon Music アイコンをタップしてアプリを起動します。起動だけ。音楽の再生は開始しないでください ! ※この時点で既に音量最大になってます! 機材や周囲の環境など音が出て大丈夫な方は試しに再生しても構いません。

Amazon Music アプリを起動 (起動だけ)

上に貼った画面でも、そして実験していらっしゃるお手元の端末でも音量の数字は最大になっていないと思います。「音量が変わっていないじゃないか!」と突っ込まないでください。内部でコッソリ音量を変えられてしまっているので画面の更新がされていないだけです。本体の電源ボタンを押して画面を消し、また押して再表示してみてください。
この操作で画面が書き換わり、正しい音量が表示されます。

いちど画面を消して再表示する

この通りです。実態が反映されました。
このように Amazon Music アプリが内部でコッソリと音量を変えてしまい、気づかずに音楽再生して爆死するわけです。画面をきちんと見ていても、変わった瞬間に気くことができません。このせいで私も凄いのを 1発喰らいました。
まぁ、ため息しか出ないです。

(左から) HiBy Music使用時 → Amazon Music 起動→ 画面更新したあと

この現象の質の悪さ

この現象、たちが悪いことに設定した最大音量を突破します。突破するというと内部の挙動とちょっと違うでしょうか。HiBy 側でパッチをあてた音量関係の API よりも低いレイヤのもので変えられています。

最大音量を突破するので質が悪い

Amazon さーん、何の API をコールして音量を弄ってますかー。全ての DAP メーカーが知りたがってますよー (苦笑)。

原因や対処法をざっくりと

他社さまの書いた雑なアプリをソースを見ることなく解析するという行為は、地面に穴を掘って埋める行為と何ら変わらない不毛なこと、限られた人生の時間の浪費*3なので、この時点で推察できる範囲のことをざっくりとだけ記しておきます。これ以上の解析はしません。
ソースを見ればすぐわかる Amazon のエンジニアと HiBy のエンジニアがどうすべきだったか考えればいいではないか、ということですね。

誰かが聴力を失ってからでは遅いです。Amazon に出来ることは、音量操作に関わる API の使用状況など最低限の情報を公開するか「DAP での Amazon Music アプリ使用は危険だから使うな」と周知するか。HiBy に出来ることは、こういった問題が発生することをもう前提として置いてしまって、全ての DAP 購入者が集い情報交換できるコミュニティを用意してしまうとか。利用者が「全て承知で使った。もう自己責任でしゃーないな。」と言える環境にしてしまえば、等々。HiBy 本体のほか代理店が取り組んでもいいでしょう。ほんとうに誰かが聴力を失ってからでは遅いです。明確に Amazon Music アプリを禁止してはいない状態ですから、これが原因で聴力失った方がアメリカで裁判起こしたら判決はどうなるのだろうかと思います。

引鉄は Amazon Music アブリの初期化処理

Amazon Music アブリを起動しただけで音量が最大になっています。また、この DAP を使い始めてそろそろ半年を迎えようとしていますが、この現象は10月に入って初めて喰らいました。

Amazon Music アブリの更新 (バージョンアップ) で、初期化に関する処理を変えたのでしょう。別の API を使うようにしたのか、それとも引数を増やしたのか等までは分かりません。コードを書いた人なら分かることですし、また同 API を使ったプログラミングを日常的にしている人なら「たぶんアレだな」と連想出来るのかと思います。

HiBy 側でバッチを当てていないサウンド関係のAPIがある

Android OS には音を鳴らす処理に関して複数種の API があります。様々な音楽再生アプリがありますが、どんな API の使い方や鳴らし方をするかはアプリの開発者次第のところがあります。OS を使わずに完全に自前でやるケースもありますし、自前と既存の API を組み合わせているケースもあります。HiBy はできるだけ多くのアプリで 192kHz にし、且つハードウェアでの音量操作ができるように頑張っていると思いますが、網羅できてはいなかったのでしょう。裏を返すと、HiBy のエンジニアが想定しえない奇妙な API 操作を Amazon Music 側でしているのかもしれません。

Amazon は我が道を行く。HiBy は直す。

確度の高い将来の想定。

Amazon は「知ったこっちゃない」というスタンスを取ります。これは、事業上の契約もしていない会社の DAP の挙動がどうなろうと Amazon には関係ないことなので当然といえます。数年前のこと、Amazon Music への対応を謳っている DENON の Heos でさえ、予告なく仕様が変わる Amazon MusicAPI に振り回されてお客様から「聴けなくなったやんけ、Amazon Music 対応はどうなっとんねん ! 」という厳しい叱咤を受けていました。お客様と Amazon との板挟みになった DENON は見るからに悲惨そうでした。故に、契約していない企業の DAP など眼中にないでしょう。その DAPAmazon で販売していても、です。
現時点の Amazon は既に生まれ変わっていて違うのかもしれません。Sony が LDAC の仕様を公開し「業界全てで盛り上がりましょう」というスタンスを取っているように、Amazon という企業のスタンスが当時と変わっていてもおかしくありません。しかし、少なくとも私はまだ Amazon が変わったと見聞きしたり実感したりしていないです。変わっていたらどんなに素敵だろうとは思いますが。

HiBy は直します。Android DAP を製造、販売している会社にとって重要な対応のひとつです。また、「アップデートする Amazon Music アプリに対し頑張って追従する」という対応はいま始まったことではなく、今までの繰り返しに過ぎません。問題になるのは「(今回の対応が技術的に)可能か否か」と「手間が大変か否か」だけでしょう。大変で時間がかかってもやると思います。ユーザーは気長に待つことになるのでしょう。

ユーザーがいまできる対処法

大切な耳やイヤホンをダメにしないために、ユーザーが今できる対処法を挙げてみます。

Amazon Music アプリを使わない

確実なのは使わないことです。アンインストールするか、操作手順→前準備に書いた方法でアプリを殺しておけばよいでしょう。

Amazon Music アプリをバージョンダウンする

Google Play ストアでない他のアプリ配信サイトには、過去のバージョンを配信しているところもあります。特に中国系のアプリ配信サイトには多いです。お勧めはしませんが、そういったサイト*4で過去のバージョンの Amazon Music アプリを入手するのは一つの手だと思います。

まめに音量を確認する、は危なそう

Amazon Music アブリ起動直後に音量が最大になるのだから、アプリ起動直後に上がった音量を下げればいいのでは? 」と考えるのは自然です。しかし、お勧めはできないです。Amazon Music アブリ起動直後に音量が最大になることは再現確認までしていますが、他の遷移での発生状況を調査・検証していないからです。アルバム1枚聴いたあとで次のアルバム選択したときに初期化が走るかどうかとか、プレイリスト中で曲のサンプリングレートが変わったときに初期化が走らないかとか、Sleep からの復帰では初期化が走らないかなど「起動時以外のタイミング入る初期化」で音量変化が発生する可能性は潰していません。発生する現象が最大音量になるという危険なもの故に、リスクが高すぎると思います。

お小言的なこと

このブログの読者の方でしたら、上記の諸々全てが「想定内」なんですよね。
過去の記事に書いた通り。これが Amazon Music というサービスの質ですし、Android という OS の出来ですし、Android DAP の限界というものなんです。ほんと、ダメなんです。Android の 14 でロスレスに対応したようなので将来的に改善する望みは出てきていますが、現状は以下の記事の通りです。

soundsmind.hatenablog.com

そして、DAP 各社が行っている OS へのパッチは、ビットパーフェクトで流すことではなく最大音量・最大周波数への変換ですから、そのまま最大音量でアナログにして流してしまい耳を破壊する事故へのリスクをゼロにすることができません。限りなくゼロになるよう各 DAP メーカーが努力しているので、我々がそのことを忘れてしまっているだけです。いや、そのリスクをメーカーはあまり説明せず、また知らずに聴いているユーザーが大半なのが実態ともいえます。Android OS で高音質を目指した際の音量処理については、こちらの記事に詳しいです。

soundsmind.hatenablog.com

ゼロベースで設計した建物と増改築で歪になった建物とに例えると、パッチを当てた OS は増改築で歪になった建物です。Amazon 側から見るとパッチの当たった DAP は"違法"建築物ともいえ、サポートなど爪の先も考えていないのかも知れないです。違法だろ、最大音量で耳が壊れても俺は知らんがなと。
書いていて悲しくなります。ハイレゾ配信をしている一方でユーザーに高音質で聴いてもらうことを、はなっからスポイルしているわけになってしまいますから。

前項で書いた対処法とは根本的な質が異なりますが、Amazon Music を聴くにはこれもお勧めします。追加投資が必要ですがリスクゼロの健全な状態にできます。

↓ R6 Pro II 側の音量を 100 にするのが基本なので耳の心配無用。

soundsmind.hatenablog.com

↓ ビットパーフェクトで手軽に聴くなら Android DAP よりこちら

soundsmind.hatenablog.com

soundsmind.hatenablog.com

 

*1:OSへのパッチ部分とAmazon Music アプリのソースを見ないと断定できませんので"推定"とさせてください

*2:もしかしたら私の知らない他のアプリでも同じ不具合を入れているものがあるのかもしれませんが、その可能性は極めて低いでしょう

*3:業務として必要且つそれしか手段がない状況なら別ですが、勉強にもならず趣味として楽しめもしない行為です

*4: APKPure 等が有名です。私は Google Play ストアからしかインストールしないようにしていますので、お勧めはできませんです。

HiBy R6 Pro II のその後と AK PA10

HiBy R6 Pro II を購入して三か月ほど経ちました。
時間経過と共に新鮮さを失い、多く所有する再生機の一つとなったことで自分なりの評価が定まりました。評価が定まったにも係わらず何台もの音楽専用再生機を持ち続けるというのは愚かしくはあるのですが、その状態になりますと頻繁に手が伸びる機種とそうでない機種という違いが出てきまして、これが理屈や他人の評価を抜きにした「純粋な聴き心地の良さ基準での自己評価」となる良さがあったりします。

どれを使っても大した差がない筈なのに使用頻度に差がつくということは、心地よく感じる方へ自然と手が伸びているということです。

自分にとって真に心地よい音を奏でる機器を選択する。これは、機器を買い替えてしまっては実現出来ません。複数の機器を長いあいだ所有し続けるからこそ得られる結果です。ふと我に返り「いま何故こちらを選んだのだろう?」「こちらを選んでも別に良かったのに、最近選ばなくなったな」等と振り返りますと「あぁ、この機材のここが優れているんだ、この点が好きなんだ。」と気づきます。

ここまで書いていて「ほんとうに愚かだ」と感じます(苦笑)。これは散財に対する典型的な言い訳です。「ヘッドフォン や DAP は複数買いましょう。買い替えではダメです。複数の機器をできるだけ長いあいだ所持し続けましょう。買ったばかりのときの新鮮な気持ちが消えた後、使用頻度の高い方があなたにとって良いものですよ。」って、こんな酷い話はありませんね。

こうなってしまうことを防ぎたくて始めたブログです。出来るだけ見知らぬ何方かのお役に立つものを目指し記事にしたいと思います。

どのくらいの音量で聴きますか?

イヤホンのレビュー記事で、高音の量感や低音の量感に関することが書かれていることを目にすることがあるかと思います。とても貴重な情報ではあるのですが、最も額面(文字)どおり受け取ってはいけない情報でもあります。

高音や低音から聴き取りにくくなる

前回の記事 HiBy R6 Pro II 購入後インプレッション の記事内で「周囲が静かでないと音が聴き取りにくくなりますが、それは一律にではなく可聴域外に近い高音や低音から順に失われます」とお話ししました。そして「聴き取りにくい高音や低音を補うべく音量を上げると、聴き取りやすかった中音は必要以上に強く聴こえますよ」ともお話しました。
これが先ほど書きました「高音・低音の量感に関する評価を額面どおり受け取れない」重要なポイントとなります。

あなたにとって快適な音量はどのぐらい ?

どこの掲示板で書かれていたか失念しましたが示唆に富む素晴らしいエピソードが書かれていたのを記憶しているので簡単にご紹介します。
FINAL D8000 という非常に高価なヘッドフォンをお買いになられた方のお話です。ある楽曲のあるパートに入ると必ず音がビリビリとしてしまうそうで、故障や不良の類ではないかとメーカーの FINAL に問い合わせたとのこと。ヘッドフォンを受け取った FINAL のサポートの方が調べた結果、問題はなかったと返信・返送したそうです。その方はあらためて音楽を聴きましたが、やはり振動版がビリビリ鳴るとのことで今度は使用機材や楽曲など詳細な情報も加えて問い合わせなさりました。結果、FINAL のサポートにて再現確認ができまして、問い合わせをなさったお客様向けに振動版の可動域を調整しなおして無事に解決をしたそうです。

ここまでですと、お客様とメーカーのサポート双方とも丁寧なやり取りをしていて高級機らしい良いご対応エピソードだなぁと感心して終わるのですが、ここからが示唆に富みます。

原因は想定外の音量

上記の現象が発生した原因は、メーカー想定の最大音量を上回るほどの大音量でご使用なさっていたため、振動板の振幅が可動域を超えていたのだそうです。

聴いている環境も聴力もひとにより違いますので、使用時の音量が各々異なることは当然です。しかし、メーカーの想定する最大音量を超えた振動版の振幅という点は注目に値します。
多くのオーディオ機器を開発し販売しているメーカーです。経験と実績に基づいた適切な音圧の基準幅を設定し、実際に発生する音の計測確認に加え耳での試聴確認を重ね出荷時の仕様の決定をしていたことは容易に想像できます。そのメーカーの設定上限を超える音量で聴く方がいらっしゃるのですから、我々素人の考える音量の上下幅なんて易々と超えてしまうことでしょう。

こんな大きな音で聴いたら耳が壊れる ( ので聴く人はいないだろう ) 、こんな小さな音で聴いたら細かな音が聴き取れない ( ので聴く人はいないだろう ) という音量で使用する方がいらっしゃるのですから、それ程の差ではないにせよ、皆が感じる「ちょうどいい音」の音量差には、かなりの幅があって然るべきです。

このイヤホンはドンシャリです、って本当ですか?

カフェや職場で音楽を楽しむとしましょう。50 ~ 60db の環境でちょっと物音がしています。この環境下で難聴にならないような適度な音量で聴いたらベストバランスなイヤホンだったとします。
このイヤホン、同じ方が同じ音量で極めて静かな環境で聴いたらドンシャリですね。50 ~ 60db の環境でも高音や低音が程よく耳に届く音圧を持っていますので、極めて静かな環境で聴いたら十分過ぎる量感に感じ取れてしまいます*1

ここまで書いていまして、メーカーの方は「このイヤホンはカマボコ、ドンシャリ」などと一言で片づけられるのが非常に嫌だろうなと思いました。

高音/低音 の多い/少ない 機種は存在する

とはいえ、高音や低音の量感に差 (多い/少ない) がある機種は存在しています。聴取時の環境や音量による聴感の違いではなく、どのような状況下においても「この機種は少ない」と感じられるような類の話です。
一例として、わたしが過去所有したことのございます JVC のイヤホン HA-FD01 と HA-FW01 を挙げさせていただきます。同メーカーの一文字違い、価格帯も近いです。

上に添付した二つのリンクのうち上側が HA-FD01、下側が HA-FW01 です。共に数年のあいだ様々なアンプやイヤーチップを組み合わせ自宅や戸外で使用しておりましたが、HA-FW01 との比較ですと HA-FD01 は常に低音が少なく感じました。この 2機種の比較でしたら、多くの方が HA-FD01 のほうが少ないとご判断なさるでしょう。もし、ショップ等で試聴する機会がございましたら試してみてください。
尚、これは相対的な比較として申し上げているものです。ですので「HA-FW01 のほうが多い」と言い換えていただいて構いません。人により HA-FD01 の量感が丁度いいと感じる方もいらっしゃれば、HA-FW01 の量感が丁度いいと感じる方もいらっしゃるかと思います。

計測サイトのハーマンカーブ比較をどう見るか

イヤホンから生じる各周波数帯の音圧を計測しハーマンカーブとの差を提示するサイトは素晴らしいと思います。非常に役に立つものだと日々思っております。しかし、実際にそのイヤホンを使用している場面を想定して音を想像できるかと問われると、途端に役に立たなくなります。「私にとって丁度良いと感じる音量での状態ではどうだろう?」「周囲の音が多少存在するときの聴感はどうだろう?」 と問うと計測値からは何も読み取れなくなります。そこにあるのは、静寂のなかで実際に耳へ挿して使うときより遥かに音量の高い状態のサイン波をスイープして得られた測定値に過ぎないためです。

物音のする環境において控えめな音量で使用したときに良いバランスで音を奏でる機種が計測環境下で理想的なカーブを描く可能性は低いと言わざるを得ません。

相対比較で計測結果を読み、自分の経験という絶対的な基準で解釈する。

自分の所有しているイヤホンを静寂の中で爆音再生した場合の聴感を体験しており、かつその計測値も掲載されているという場合に限りますと、所有していないイヤホンの計測値は役に立ちます。
所有しているイヤホンの測定値と使用時の聴感を絶対的な基準に置けるので、それより多い/少ないを相対的に連想することができるためです *2
計測サイトの情報からは他にも様々なことが読み取れる*3ので、高音や低音の量感という話題一点のみを理由に「計測結果は相対比較で連想する程度のものでしかない」という結論にするつもりはございませんです。ハーマンカーブに沿ったものが理想的なバランスになるという絶対的基準を追い求めると、高価なイヤホンを実際に手にして使用する環境や音量で聴いた際に「なんだ、このバランスは!」と嘆く悲惨な結果が待っていますよ、という話としてお受け取り下さい。

究極、自分の耳と記事作成者の耳の相対化

理屈や経験などを長々と書きましたが、結論は二つに絞れます。

  1. 書いてあることを文字通りに受け取るのは危険です
  2. 自分の耳を基準にし、記事作成者との差を掴みましょう

このブログを書き始めたきっかけが「多くの記事作成者に助けられた」というものでした。機能紹介や新製品情報という分野でなく、音に関するインプレッションやレビューという分野の記事で「助けられた」と感じるのは、2 を掴めるだけの文章があるブログ記事でした*4。「この人、たぶん私より線の細い音が好きだな」とか「この人が刺さるという音は私は気にならない。私より相当大きな音量で聴いているな」等ということが掴めだすと、途端に記事から受け取れる情報が文字通りではなくなり、自分の必要とする情報へと解釈できるようになります。

ということで、私の記事も文字通りには受け取らず相対化していただけると有難いです。

音に関する印象変化

前回の記事 HiBy R6 Pro II 購入後インプレッション に記載したものと大きく変化はしませんでした。音に癖がなく滑らかに鳴らします。そして非常に解像度が高いため、結果として音源にシビアだという感想です。

癖のない音色

何か良い例えはないかなと暫く考えまして、それっぽいものを一つ思いつきました。
昔から DAP に注目していた方なら SONY の先代のウォークマン比較で「NW-WM1Z と NW-WM1A なら、NW-WM1A のほうが好み」という方がいた話を覚えている方もいらっしゃるてしょうか。この NW-WM1A を好む方には向いているかもしれません。
とはいえ、あくまで音の好みの傾向を例えただけの話でして、7年も前に発売された 1A と 最新の R6 Pro II を真っ当に比較したら 1A は辛いと思います。そして、過去記事から察するかと思いますが、私は NW-WM1Z 派です。私の好む音場よりちょっと狭いけど艶のある音をぐっと鳴らす 1Z に、音場の広い HA-FD10000 を組み合わせて使うというのを好んでいました。

好みではない「艶のない音色」について

「ということは、R6 Pro II はお前の好みではないじゃないか」と突っ込まれると、おっしゃる通りでぐうの音もでないのですが、音源を着色せず精度高く音へ変換するという傾向のお蔭で「ヘッドフォンやイヤホンで管弦楽団のホール録音は無理」という私の評価を変えてくれました。定位の再現性が高く位相ズレの少ないイヤホンと組み合わせた際の空間描写は素晴らしく、私がいままで試聴ないし所有してきた製品の中では唯一無二とも言える存在です。

宅録・打ち込みサウンドYoutube 音源からオーディオの世界に入られた方やまだ機器に散財をしていない方ですと、話がピンとこないかもしれません。ひとつ具体例を挙げてみたいと思います。

お手持ちの機材でこちらを聴いてみてください。桑原あいさんのピアノソロのアルバム「Opera」です。

music.amazon.co.jp

このアルバム収録のために東京オペラシティというホールを3日間借り切ったそうです。演奏のすばらしさは一旦棚に上げましてビアノの音色だけに注目します。これをお聴きになり「なんとも角の取れた丸い音だな。音の響き方や余韻から広いところで演奏したものと理解はできるが、耳元からそのような丸く余韻の強い音が聴こえるだけで平面的だ。」と感じられる方もいらっしゃるかと思います。いや、寧ろそう感じる方が多いのではないでしょうか。
次に比較用として桑原あいさんの「Dear Family」を聴いてみてください。

music.amazon.co.jp

こちらはスタジオでピアノの傍に多くのマイクをセッティングし収録されたものです。先ほどとは打って変わり、ビアノのアタックからサスティンまで細かくきらびやかに伝わるし低音から高音がセンターから右へと流れるように奏でられていると聴き取れるのではないかと思います。
余談ですが、打ち込みサウンドからオーディオに入られた方は、こちらの石若駿さんが奏でるシンバルの音を気にしてみてほしいです。最近の打ち込みサウンドのクォリティーは素晴らしく、生演奏が得意とする領域にも随分と食い込んでいる感があるのですが、生演奏との差が大きなところも数々ありまして、このシンバルはその最たる例かと思います。

最後におまけとして、1975年にケルンのオペラハウスで演奏されたものが収録された名盤、キース・ジャレット氏の「ケルン・コンサート」をご紹介します。

music.amazon.co.jp

こちらのアルバムの音色をお聴きになると、同じホール録音でもピアノのアタックやサスティンが「Opera」と違いきらびやかなのがわかると思います。楽器の音色を活かすのか空間描写を活かすのかという方針の違いで、こんなにも音色は変わります。

ここまで聴いていただいたところで散財をまだしていない方向けの話題に戻ります。
イヤホンやヘッドフォンでは、最初に挙げた「Opera」のような空間描写を活かした音源は角の取れた音が耳の傍から平面的に聴こえるだけになってしまい、奥行きがある広い空間に配したところから音が響いているようには聴こえないと考えていました。スピーカーでないと無理だと。ところが、HiBy R6 Pro II は定位の良さと微小音をそのまま再生させる解像度の高さとがあるので、マイクを通して音源に保存されたホール内の反響音の再現性が高いのでしょう、イヤホンやヘッドフォンでも立体的に聴き取れたというわけです*5

更に、同意していただける方も多そうな余談をもう一つ。
素直に演奏を楽しめれば一番よいのですが、一聴して「前のアルバムとは随分と音作りを変えたなー」とか「かなりマイクを離して録ったなー。空間再現性の高い機器でないと音源のもつ本来の美しさは出ないかもな。」などと考えてしまうのがオーディオに嵌ってしまった者の悲しい性でではないでしょうか。
そして、もし Opera を一発で「奥行は最初から感じましたよ。エッジを丸めてリバーブつけた音が耳元で鳴っている感じなんて無かったです。」という再生ができた方、是非機材をご紹介ください。(きっと、かなりのお値段の組み合わせではないかと…)

音の変化に関するお試し

「じゃあ、楽器の音色を楽しむ音源はどうするんだい? 艶が好きなお前は別の機材を使うのかい?」という話になるかと思います。これもその通りでして、私の好みや目的とはアンマッチとしか言いようがないです。少し物音のするカフェで使用しようと買ったのに、手元にあるのは細かな音に強みがあると感じる DAP。割り切って楽曲に合わせ他の DAP と使い分けというのも勿体ないので、いろいろと試してみました。

色々と試したなかで、このブログ的には最も「やっちゃダメなやつ」を写真からご紹介します。

HiBy R6 Pro II と AK PA10

出音が素直だと解釈する

R6 Pro II の傾向「音源を着色せず高精度で音へと変換する」というのは「自分好みの音に変えるには最適」という解釈もできますし、また使ってくださいと言わんばかりにバランスのラインアウトも存在します。
常日頃から散財したくないと願っていたのですが買ってしまいました。 アナログのポタアン AK PA10 です。最新の価格については下のリンクでご確認をしていただければと思いますが、わたしの購入時の価格で約8万円でした。毎度お金の話はしんどいですが、R6 Pro II と合わせると 20万円越えです。カフェ使いで感じられる程度の高音質 DAP と言っていたのに、ありえない金額に達してしまいました。
前回の記事をアップロードしてから半月ぐらいあとに買ったので、当時はそれなりに我慢をしていたのだと思います。半月も悩んで買ったのなら衝動買いではない、致し方ないと自分を慰めます。

AK PA10 の簡単なご紹介

主たる話題から逸れますので、AK PA10 のご紹介は簡単に。

アナログのポタアン

ジャンル的にはアナログのポタアンになります。購入した音源やストリーミングなどのデジタル音源を音に変換する機能はありません。別の機材で音に変換されたものを入力に使い、ヘッドフォンを鳴らせるだけの高出力へと増強する機材です。入力にアンバランスたけでなくバランスもあるものは意外と少なく、その数少ない機種の一つがこれです。HiBy R6 Pro II は、3.5mm アンバランスと 4.4mm バランスのライン出力端子をもっているの都合よい組み合わせになります。

4.4 mm のケーブルは付属していない

本体に付属している接続用ケープルは 3.5mm アンバランスのみです。4.4mm バランスは別途自分で用意する必要があります。ところが、短めの 4.4mm バランスケーブルというのは選択股が少なく、良品をお安く買うことが困難です。
毎度のことですが、私は手持ちの SONY キンバーケーブルの切れ端で自作しました。

キンバーケーブルは 8 芯のブレイド編みなのでバラして5本を 4.4mm バランスケーブルに、残る 3 本は捨てるのも勿体ないのでアンバランスケーブルにしました。

バラしたキンバーケーブル5本をはんだ付けして編みこむ。
残る3本も同様に。短いバランス、アンバランスケーブルの完成。
段差の重ねにくさはケースで回避

AK PA10 単体では音を出せないため、必ず何かしらの再生機と組み合わせて使うことになります。そのため、再生機を積み重ねようとしたくなるのですが AK PA10 は片面に段差があるので、積み重ねてテーブルに置くのが困難です。
この段差、下にリンクを貼ったケースを購入し装着したら無くすことができました。

ケース内に凹凸があり、段差の部分が吸収されるようになっています。

段差の部分がケース内の凹凸で吸収される

段差が無くなるので、DAPを積んだ状態でテーブルに置ける
Line Out 使用時の R6 Pro II 側の音量は 100 で大丈夫

HiBy R6 Pro II の Line 出力は アンバランス / バランス各々 2Vrms/4Vrms で、AK PA10 側の入力も各々2Vrms/4Vrms となっているため HiBy R6 Pro II の音量を最大の 100 にして AK PA10 側のツマミだけで音量調整しで問題ありません。
幸いなことにギャングエラー*6も感じておりません。

素とAK PA10 経由との聴き比べ

前回 HiBy R6 Pro II 購入後インプレッション を記載した際に、ヘッドフォン TH-909 を使い Hugo2 と比較した感想で「R6 Pro II のほうが軽く感じる」「中低音、ダブルベースなどの音域で差がある」と記しました。
この感想はその後も変わらず、またTH-909 以外のヘッドフォンを使用しても一緒でした。これを AK PA10 経由にしたところ

これだよ、これ (ニヤリ)

と思わず漏らしてしまう音にガラリと変わりました。中低音がグッと太くなり、厚みが増します。もう、大型ヘッドフォンを使っても Hugo2 比での細さを感じることなどなく、音の好みの範疇でどちらを使っても良いのではという程度の違いになりました*7。音色に軽く艶感も出できます。

出音はアナログ部分次第

よく最終的な音は DAC *8 後のアナログ回路で決まるという話を目にするかと思います。これが事実であると実感できる好例として、今回のものを上げたいと思いました。ほんとうにハッキリと変わります。
いくら大型ヘッドフォンを鳴らすような出力競争をしていない DAP だとはいえ、そこそこの出力はありますし音量も十分に取れます。なのに大きな変わりようです。

どうなんだろう、何かの間違いなのではないか。さすがに艶っぽさは AK PA10 の影響だとしても中低音の厚みというシンプルなものなら AK PA10 を介さず素の状態でも、もう少し存在してもいいのではないかと思い MDR-Z1R を使い聴き比べの実験をしてみました。

アンプのゲイン切り替えで変わるのではないか

AK PA10 経由で聴いた後、素の状態にしつつ同じぐらいの音量にして聴き比べる、というのをアンプのゲイン切り変えを挟んで試しました。巣の状態の際に、同じような聴感でも Low Gain で Volume を高くした状態か、High Gain で音量を絞った状態かという選択ができるので、その違いが音質に現れるのかという実験です。私の耳では以下の 3 つの状態が、大体似たような音量に感じ取れました。

  • Gain Low / Volume 30
  • Gain Middle / Volume 25
  • Gain High / Volume 20

で結論ですが、中低音の量感は違いました。Gain High / Volume 20 のときのほうが厚みが出ます。Gain Low / Volume 30 のときのほうが薄いです。
AK PA10 のときの厚みを 10、素で Gain Low / Volume 30 のときの厚みを 1 とすると、Gain High / Volume 20 のときは 4 とか 5 ぐらいまで厚みが出る感じです。ゲイン切り替えだけでそのぐらいは変わります。

ポタアンを買わなくても

買って実験をしたのでよくわかりました。中低音の厚みをもう少し欲しいという一点であれば、いきなり AK PA10 などのポタアンを買うのでなく、いちど Gain High を試すことをお勧めします。散財開始は試してからでも遅くありません(苦笑*9 )

また、試聴等でも Gain の Low, Middle, High は一通り試した方がいいです。イヤホンで Gain 切り替えでの変化が出るかと問われますと「私の手持ちのものでは殆ど感じない」という返答になるのですが、ヘッドホンでしたら「私の手持ちのものなら確実に変わる」という返答になります。皆様がお持ちのイヤホンでは変わるかもしれません、 Gain 切り替えは簡単に試せますので、判断は試してからでも遅くありませんです。

アンチエイリアスフィルタ*10

A と B が違うということはわかるが、どちらにどのような良さがあるかまではわからない。ということはよくあると思います。
更に、この A と B の差が脳トレの間違い探しみたいな僅差になると、どこに何の違いがあるかさえわからない、ということが起こります。間違い探しクイズだと実感できるでしょう、はじめ全くわからなかったものでも正解を知った後なら一目で違いを見つけられます。この「本物や正解を知っているとすぐにわかるが、知らないとわからない」「違いがあることさえわからない僅差もある」というのがこのアンチエイリアスフィルタです。
前項でシンバルの打ち込み音は生演奏比で云々という話をしましたが、これは私が某ジャズクラブで数m先の石若駿さんがものすごいドラムソロを演奏なさっているのを聴く機会を得ていたから触れることができたに過ぎず、生演奏を聴く機会に恵まれていなかったらきっと「打ち込みとスタジオ収録の音は明らかに違う」という話以上のことはできませんでした。

そんな前置きをしつつ軽く触れてみたいと思います。この話題は私にとって「どこに何の違いがあるかさえわからない」という苦手なほうの話題です。

アンチエイリアスについて

取り急ぎアンチエイリアスという言葉が初見だという方向けに。
デジタルデータは「間引いたもの」だという話を昔
Amazon Music HDをビットパーフェクトで聴く(前編) で致しました。アンチエイリアスは、間引いてガタガタになってしまったデータを元の滑らかなものへと復元する際に「似せる」計算手法のひとつだとご理解ください。似せるという点がポイントです。どんなデータに対してもソックリに似せられる万能な計算方法というものは無く、あるデータでよく似た状態になるけど、あるデータでは似ないということが起こります。ガタガタなデータを計算で滑らかに戻そうとすると、元の音には存在してない高い音が出現してしまったり、元の音の鋭さが変わったりしてしまったりします。
デジタルデータは間引いたものという言い方で察すると思いますが、この問題は音楽のデジタルデータだけでなく映像のデジタルデータでも生じます。元のデジタルデータのまま絵にするとギザギザしたものに見えてしまうので、どうやって元の滑らかな絵に戻すかという計算をしていたりします。

HiBy R6 Pro II のアンチエイリアスフィルタ

HiBy R6 Pro II では、以下のものから好きなアンチエイリアスフィルタ処理を選択できます。

  • Sharp Roll-off
  • Slow Roll-off
  • Short Delay Sharp Roll-off
  • Short Delay Slow Roll-off
  • Super Sharp Roll-off
  • Super Slow Roll-off
  • Low Dispertion Short Delay

これは、HiBy R6 Pro II で採用している DAC旭化成製の AK4191 で搭載されている計算処理の種類です。「このなかから良いと思う音を選べと言われてもなぁ」と感じる方も多いのではないでしょうか。また、私のように変えて聴き比べても何処が変わったかすぐに掴めなかったという方もいらっしゃると思います。
アンチエイリアスは元のアナログデータに似せる処理です。つまり、元のデータはこうなっている筈だ(元のサウンドはこうなっているはずだ) と理解できる人でないと「これだ」とチョイスすることができません。本物や正解を知っている人だけがわかる問題の典型例です(苦笑)。

処理の性質上すぐに思いつくヒントは「間引いたもの」を似せる処理だということ。つまり、元のデータがたいして間引かれていない場合は、計算処理をする前から超滑らかであるということです。逆に間引かれまくったデータであれば、計算処理による滑らかさが露骨に出ることになります。

であれば、ハイレゾ音源で一生懸命聴き比べても素人にはわかりにくい。それなりにガチャついた CD 音源で比べたほうが違いが出るでしょう。私と同様に「何処が変わったかさえわからない」と感じる方は CD 音源で試してみてください。

正解がない、正解がある

先ほど「どんなデータに対してもソックリに似せられる万能な計算方法というものは無く、あるデータでよく似た状態になるけど、あるデータでは似ないということが起こります」と記しました。そういった意味では、上に挙げたアンチエイリアスフィルタのどれを選べば OK というような正解はございません。しかし「間引く前の音」という根本となる正解ならございます。それを知る者は「このアンチエイリアスフィルタが最も近い」という特定条件下での解を導くことができます。

この「正解がない」「正解がある」という2点を意識しながら、こちらをご覧になってみてください。旭化成の方による解説記事です。

より良い音質を求めて | STORIES | VELVET SOUND - 旭化成エレクトロニクス (AKM)

このなかに、あるフィルタによる再生結果を確認した楽器メーカーの方が「これ、私が録音したドラムと位置が違う」とおっしゃったと書かれています。典型的な正解を知る者だからこそ気づける指摘。なんと示唆に富む素晴らしい話でしょう。

音の違いについて聴き比べる際、どこを意識なさるでしょうか。音の立ち上がりの速さでしょうか、音色でしょうか、消え際でしょうか、微小音の分解でしょうか。無音に近くなっていく際のノイズ感でしょうか。ここで指摘がありましたのは音色でも分解でもなくタイミングでした。タイミングに対して極めて高い意識が向くドラムだからこそ、一様にごくわずかにずれて鳴っていることを敏感に感じ取れたのだと思います。そして、それがきっと気持ち悪くも感じたのでしょう

音楽の作り手の方や演奏をなさる方であれば、意図的にキーをずらした楽器で演奏したりタイミングをずらして鳴らしたり、ラの音の基準周波数をちょっとずらして音を重ねたりすることで楽曲に不安定感を出すことが常套手段だとご存知ですし、その際にはどの程度ずらすと効果的かという方程式もお持ちかと思います。なのでズレという概念自体が悪という話ではありません。
一方で私のような素人には、それがどこまで意図的か否かわかりません。本物を知る方であれば「こんなものが意図的であるものか。間違いだ。」と一発で聴き分けるでしょう。意図的か否か分からぬ素人の私は「どちらが好きか」という基準しか持てないので「録音したドラムと位置が違う」というダメなものを好んで聴くということが確実に起こっているでしょう。

もう僅差の話だし、素人なら聴いても気持ち悪くは感じないだろうから、どうでもいい世界かもしれません。本物を見抜く力を試すTV番組「芸能人格付けチェック」のような世界ですね(苦笑)。

暴論な結論

考えだしたらキリがありません。かといって楽曲を創られた方が「違う」とおっしゃるものを聴くのも気が引けます。結論といいますか暴論。

アンチエイリアスフィルタの影響が出にくい、ないし出ない音源を聴けばいい。192kHz のPCM音源だったら、 5.6MHz の DSD音源だったら無問題じゃないか。

ということで「CD 音源のときに限り、気になるようなら変えてみればいい」と私は結論付けています。フィルタで悩んで音楽を楽しめなくなるのは疲れるし嫌な感じです(笑)。

ちなみに私は「Low Dispertion Short Delay」にしてあります。

まとめ

ダラタラと長く書いてしまいました。
最後にまとめてみます。断定的に書いてはいますが、全て「と思います」という感想です。

  • 癖がなく滑らかで解像度が細かい音。中低音薄くスッキリと感じる。
  • 定位良く広い。ホール録音に向いている。
  • Gain を High にすると中低音が前に出る。お試しあれ。
  • アナログアンプへの送り出し用途にいいかもね。
  • フィルタどれ選ぶ? 私は「Low Dispertion Short Delay」にしてる。けど、フィルタ気にせずに済むハイレゾを聴くのが楽でいいよ。

といったところでしょうか。参考になれば嬉しいです。そのほか、イヤホン選びでもっと好みの音にと画策したいのですが、散財を防ぐべく我慢をしております。

 

*1:イヤホンの嵌め方を浅くしたり僅かに空気が逃げるイヤーチップを使ったりして調整する方法もあることはありますが、それは個別の話題なのでここでは触れずにおきます。

*2:この連想、当たっても半分程度という感想です。計測時のイヤーチップやダミーヘッドへの嵌め方、そして自分の耳へのフィット具合等があるせいか、事前の想定より量感が多かったり少なかったりは起こります。これを言いますと元も子もないですが、結局「聴いてみないとわからない」となります。とはいえ予想ができるだけでも有難く、計測してハーマンカーブとの差を提示するサイトには感謝しかありません。

*3:例えば、特定の周波数帯に共振ポイントがある等といったデバイスの癖が読めたりします

*4:ネットショップや価格比較サイトにある単発評価や SNS のつぶやきは、音の傾向を掴む場合に限ると役立たないことが多いです。記事作成者の耳が全く分からないためです。稀に所有機種と好みを簡潔に述べたうえで他機種との相対比較に絞ったことを書いていらっしゃる方がおります。こういったケースでは単発でも非常に役立ちます。

*5:音に艶が出る機器は反響音を滲ませてしまうので厳しいです

*6:左右の音量が異なる状態になること。音量が低い位置で発生がしやすい現象です。私が過去所有した機材では SONY の PHA-3 で悩まされました。

*7:いやいや、Hugo2 + 2go で 30万円以上も使っていますぜ。更に 20万円ものお金を使って機材を買って、僅差になったとを喜ぶって根本的なところが間違ってますぜ。と自分へ突っ込んでおきます。

*8:DAコンバーター。デジタルデータをアナログの音に変える部分

*9:もちろん私は買ったことを当初は後悔しました(笑)。しかし、自宅で AK PA10 経由で聴くという頻度が意外と多いので、まぁいいやと割り切ることにしました。

*10:そもそも、DAC のフィルタはアンチエイリアスではなくデジタルフィルタだとかございますが、HiBy R6 Pro II のメニュー表記に合わせてアンチエイリアスと呼称させてください

HiBy R6 Pro II 購入後インプレッション

久しぶりに DAP (デジタル オーディオ プレイヤー) を購入しました。
この記事を執筆している 2023/5 時点では、この製品を購入された方の感想や意見がさほどネットにあるわけではなさそうです。であれば、増やす側にまわり少しでも貢献しようと執筆しました。今回は購入後のインプレッションまでを記してみます。

HiBy R6 Pro II

購入動機

いきなりですが、DAP は据え置きタイプの機器に比べて難しいなぁと思います。
買う側の選択も難しいし開発する方のコンセプトワークも難しいと感じます。据え置きタイプは、ある程度ではありますが、筐体が重く大きくなるにつれて音が良くなり値段も高くなるという傾向が見られます*1。その関係性のなかで、買う側は予算内かつ気に入った音色のものを買えばいいのですが、DAP だとそう簡単にはいきません。

DAP は使うシチュエーションが多様過ぎる

難しさの原因のひとつに、DAP を使うシチュエーションが据え置きタイプと比べ多様だという点があります。
据え置きタイプは静かなところで腰を掛けて音を楽しむものですから、静かな環境で良い音であるよう開発されますし評価もします。ところが、DAP を使用するシチュエーションは人によりバラバラ。ある環境では OK だけと別の環境だと NG になったりと、評価基準が一定にはなりません。どのようなシチュエーションでも合格点という最大公約数的なものを開発するのは不可能なのではないかと思うほどです。三つほど具体例を挙げてみたいと思います。

公共交通機関での移動中に使う

通勤や通学など、日々の公共交通機関で音を楽しむシチュエーションの場合です。静かなところで聴き分けられた音が、公共交通機関のなかだと聴き難くて機器の音量を上げてしまうかと思います。
これは当然のことで、地上を走る電車なら 80db 程度、地下鉄ならそれ以上の騒音が常に出ています。都心にお住まいの方なら地下鉄大江戸線をご存じでしょうか、この車内の騒音のピークは 100db 越え。耳栓をしていないと耳を傷めるレベルです。

このような環境下で聴き取れなくなる音の周波数は一定ではありません。人の声の周波数帯から遠い音程から順に、つまり高音や低音から順に聴き取れなくなります。簡単に言うとAMラジオみたいな聴こえ方になります。
聴こえない周波数帯の音を補うべく音量を上げて聴くと、今度は聴き取れていた中音が過剰に大きくなってしまい、立体感に欠いた耳に張り付くような聴こえ方になってしまいます。
そもそも論、そんなに音量を上げてはヘッドフォン難聴まっしぐらですし、音漏れによる周囲への迷惑も避けらません。

結果として、ラジオ品質だと割り切って程々の音量で楽しむか、ノイズキャンセリングイヤホン(ヘッドフォン)で楽しむかの二択になります。
前者であれば、ノイズフロアを極力下げ高音質化した DAP では宝の持ち腐れです。後者であれば、ノイズキャンセリングイヤホンの性能が音質の全てですので、送り出し側の機器は LDAC に対応さえしていれば何だって構いません。結局のところ「公共交通機関は環境が悪すぎるので、Android スマホ以上の性能があっても享受できない」となり「お気に入りのノイズキャンセリングイヤホンを探す」ことが、このシチュエーションで可能な音へのこだわりとなります。「スマホでいいじゃん。DAP は要らないよ。」 という方がいらっしゃいますが、この状況下であれば「その通り」だと思います。

出先のカフェや職場で使う

他の人と空間を共有する場所での事務作業、カフェでの作業や職場での作業などが該当します。そういった環境ですと騒音は 50db ~ 60db 程度。おしゃべりを誰もせず空調の音が最も響く環境なら 50db を切るでしょう。

この程度まで騒音が減りますと、カナル型の有線イヤホンで耳を塞ぐ程度で得られる遮音効果でも繊細な音を楽しむことが適います。とはいえ、実際にその場所で耳栓代わりにカナル型の有線イヤホンをいれた場合とノイズキャンセリングイヤホンを入れた場合とを比較して差が大きく感じたら「まだ有線イヤホンやDAPへの投資はもったいない」と考えた方が良いかと思います。

外部の音をカナル型の有線イヤホンで十分減らせるような環境であれば、失う高音域や低音域を音量で補って聴感のバランスを壊すようなことをせずに済みます。楽曲が持つ音のバランスや響きが実感できる環境ですので、好みのイヤホンに合う DAP を探す喜びも十分に味わえます。
但し、あくまでカナル型の有線イヤホンで得られる遮音性があるから楽しめるというシチュエーションですので、DAP に求める性能はイヤホン特有の性質に応えられるものになっているがどうかが重要になります。
一般的なイヤホンの傾向で大雑把に要求性能を記すなら、BA型のイヤホンはインピーダンスが低くホワイトノイズが出やすいです。マルチBA型ならインピーダンス変動が激しいです。ノイズフロアが低くて低インピーダンス側で粘れるかどうかが大事で、音量を取るための高電圧は必要ありません。
そして何よりも重要なのは、フル充電での再生時間でしょう。これは個人的な事情に大きく左右されます。3時間で良いという方もいれば、10時間は欲しいという方もいらっしゃることでしょう。

出張先のホテルやリモートワークの個室などで使う

極めて静か且つ充電も一応できるという音楽鑑賞に最適な環境だが、手荷物の関係で大きいものは避けたいというシチュエーションです。
この環境なら、徹底的に音質にこだわったイヤホンや DAP を所有する喜びを余すことなく味わえます。充電環境があるという理由で再生時間に関する評価の優先順位を下げる方もいらっしゃるでしょう。

外出先でなく自宅で音楽を聴きながら作業する方のなかにも、このカテゴリにマッチする方がいるかもしれません。電源ケーブル這わせるようなオーディオは置きたくない、作業机の端に小さな DAP とイヤホンが置いてあるぐらいが丁度いい。しかし、音としては何物にも代えがたい最高のお気に入りが欲しい。そんな楽しみ方ですと、高価なイヤホンを何本も買って試していらっしゃるケースが少なくないと思います。

(おまけ) 据え置きタイプ向けの大型ヘッドフォンを接続して使う

ネットの書き込みを見ていると、DAP にこれを求める方がいらっしゃるように見受けます。据え置きタイプへの接続を想定した、インピーダンスが 300Ω もあるような開放型ヘッドフォンを接続するケースです。
どんなシチュエーションで使われるのか、私にはちょっと想像がつきません。公共の場で DAP に接続し使用しているのでしょうか。大型ヘッドフォンにも、屋外で使用することを想定したものや DAP と組み合わせてパフォーマンスが出るものも数多くありますので、DAP に向いていないヘッドフォンを無理して使う必要もありません。

DAP のベストアンサーはシチュエーションで変わると既に書きましたが、据え置きタイプの大型ヘッドフォンを使うシチュエーションというのは DAP にとって最も特異です。必要となる電力、瞬間的なものも恒常的なものも含め、を供給する回路や電源を加えれば DAP の容積は増しますし、低インピーダンスのイヤホンで聴き取れてしまうような微小ノイズが生じやすくなります。両立させようとすれば、大型ヘッドフォンを中途半端に鳴らし低インピーダンスのイヤホンではノイズが気になり、あまりコンパクトでなくバッテリーも持ちが悪いという「どこも優れていない製品」が生まれかねませんし、また存在もします。

使用されるシチュエーションでのベストを目指して設計すればパフォーマンスは伸びます。「どんなイヤホン、ヘッドフォンでも繋げられる」という目標で設計するのであれば、小型軽量化の競争から離脱し、筐体を大きくして大型ヘッドフォン向けの回路や大型パーツを実装するのが肝要です。
据え置きタイプ向けの大型ヘッドフォンで使用する DAP を望んでいらっしゃる方は「大型ヘッドフォン用とイヤホン用に二つ機器を買うのは避けたい、中庸で構わないからオールマイティ1台が欲しい」ということなのでしょうかね。

DAP メーカーは大変だ

ここまで書き、あらためて DAP メーカーは大変だと思う一方、Astell & Kern や SONY はしっかりしたメーカーだとも思いました。

Astell & Kern の製品は、半端な製品は用意せず多様なシチュエーションの一つ一つで最高のものを届けようとしているように感じます。出先のカフェや職場のような環境で楽しむ方向けに A&norma SR35、良質な環境下で最高の音質を求める方に A&ultima SP3000 、据え置き向け大型ヘッドフォンを使いたいが省スペースを望む方向けに  ACRO CA1000 、何が何でも携帯機で高インピーダンスのヘッドフォンを繋ぎたい方向けに KANN MAX、おまけにガジェットマニア向けの A&futura SE180。
ユーザーが音を楽しみたいと望むシチュエーションに合わせ「あなたにベストな機種はこちらです。」と全方位に展開できるラインナップです。中庸な製品はありません。

(上) 左:SR35 右:ACRO CA1000 (下)左:KANN MAX 右:SP3000

SONYWalkman で初めて音楽を外に持ち出した会社らしい品揃えです。まず、公共交通機関向けに WF-1000XM4 や WH-1000XM5。スマホ時代になった今、移動中に音を楽しむという Walkman の DNA がノイズキャンセリングの世界で生きています。
そして Walkman の名を冠した製品は、より良い音を外に持ち出す機器としてラインナップ、出先のカフェや職場向けに NW-ZX707、 良質な環境下で最高を求める方には NW-WM1ZM2。据え置きタイプの大型ヘッドフォンに拘る方には DMP-Z1。
更に、各々のカテゴリで予算の厳しい方向けの廉価版が存在しているところに SONY の強さを感じます。マニアだけでなく一般の方にも目が向いています。

(上) 左:WF-1000XM4 右:NW-ZX707 (下) 左:NW-WM1ZM2 右:DMP-Z1

シチュエーションを明示して

ここまで長々と前置きを書いた理由は、DAP について褒めたりイマイチだと言ったりするときには「どこで、どんな使い方をする場合か」を明示するのが必須だと思うからです。レビューに記された不満ポイントが実は環境依存で、他の多くの方には何の問題もなかった、なんてことがよくあります。
A&ultima SP3000 や NW-WM1ZM2 でインピーダンスが 300Ω あるヘッドフォンをドライブできないと気にする方は見かけません。2シーターのスポーツカーに対し、キャンプの荷物は積めない、車中泊はできない、というのが気にならないのと一緒です。

「出先のカフェや職場」使用が私の購入動機

約三年続いた在宅勤務も終焉を迎え、外出することが多くなりました。結果「出先のカフェや職場」に適した DAP を欲しくなった次第です。
この用途に向いている DAP も過去には所有していたのですが、在宅勤務期間中に全く使用しなくなり手放してしまいました。言い換えますと、在宅勤務のあいだは良い環境、良い機材で音を楽しめていたということになります。

AK HC2 が手元にあったので音楽専用スマホと一緒に持ち歩いてみました。コネクタ部分に気を遣うことと機材の出し入れを面倒に感じることとの二点で、音を楽しむ気分は DAP のときよりも落ちました。
カフェでの時間潰しが 30分未満だったりすると、上述のネガティブな気分が理由で音楽を聴かずに過ごしてしまっていました。DAP を所持していた頃なら 15 分でも音を楽しんでいましたので、ずいぶんな変わりようです。

機種選定

「出先のカフェや職場」で楽しむための機種というのは選定条件のトップにありましたが、そこにもう一つ条件を加えました。それは「新しめの Android OS に対応している」ことです。
この文章をお読みの方なら、きっとご存じでしょう。音楽ダウンロード販売サイト「e-onkyo music」がストリーミングに対応している音楽配信サービス「Qobuz」に移行する準備を進めています。いまから楽しみで仕方ありません。
せっかく DAP を買うのなら、このサービスがローンチした際に使える可能性が高いものを選んでおきたい。そのためにつけた条件です。

最初の候補

すぐに上がった候補は、当然のようにこの二機種です。

どちらも文句なし、性能が用途にピッタリ合う最新機種です。両メーカーとも設計思想にブレがない。素晴らしいと心から思います。

ところが、完全に個人的な理由で「ときめき」ませんでした。理由は二つあります。
一つ目に、お金の話をするのはしんどいのですが、「高価」に感じるのです。価格は変動しますので、最新状況は上記リンクでご確認をお願いしますという前置きをしつつ。どちらもカバーや保護フィルムなどを込みで見積もりますと「10 万円越え」です。コロナ前の時代なら、この用途ですと 5 ~ 6 万円程度でした。10 万円も支払うのなら、カフェで使う「道具」以上の感動や喜びが欲しいです。
二つ目は更に個人的な理由になってしまうのですが「どちらも想像を超えなさそう」というものがありました。A&norma SR35 ですと、所有している AK HC2 の延長線上の音ではないかと思ってしまいます。NW-ZX707 ですと、NW-WM1Z と NW-ZX300 の二台持ちをしていた時期に携帯性と音の好みとのトレードオフで、敢えて携帯性の劣る NW-WM1Z を選び持ち歩いていたため、もし NW-ZX707 を買ってしまったら NW-WM1ZM2 の音を欲してストレスを溜める結果になるのではないかと思ってしまいます。

繰り返しますが、どちらの機種も期待を裏切らない製品だろうという確信を持っていました。しかし、個人的な懐事情とオーディオ遍歴がブレーキをかけてしまったというだけです。

追加候補

本命の二機種を見送り第三の選択肢として検討したのが「HiBy R6 Pro II」です。
ヘッドフォン、イヤホン、据え置きタイプの機材などで中国メーカー製のものは数多く愛用していますが、DAP はいちど痛い目を見てしまい評価を下げていました。
応援している会社しか社名つきで厳しい意見を申し上げたくないので会社名と製品名は伏せますが、その DAP は「ありえない。この人たちは音楽を愛していないか、ふだん自社製品で音を楽しんでいない。こういう思想の人には良いものを作れない。」と思ってしまうような製品でした。

何が起こったかといいますと、その DAP に付けている音楽再生アプリ*2で「ギャップレス再生」が出来なかったのです。つまり、クラシックやノンストッブミックスなどを聴くと、曲の途中で無音が差し込まれるのです。この状態が「仕様」だそう。この DAP を速攻で売却したことは言うまでもありません。この開発者たちには「死ぬまで自社の DAP と再生ソフトしか使ってはいけない。」という制裁を科したいですね(苦笑)。Astell & Kern や SONY なら、きっと社内で「不具合」と称し直すまで販売しないでしょう。

そんな信頼を欠いた状態ですので、同じ中国でも違うメーカーとはいえ 10万円クラスの DAP を「ダメなら売ればいいや」と買う気にはなれません。しかし、HIBY だったら試しに買ってもいいと思えました。
このメーカーは自社の音楽再生アプリ「海貝音楽」を Android 用の無料アプリとして配信していました。ふだん Android 端末で USB Audio player pro をメインに使用している視点で見ても「もしも無料アプリのなかからしか選べなかったら海貝音楽にするかな」と思える出来栄えです。もちろんギャップレス再生可能です。

Google Play で配信している再生アプリ「海貝音楽」

アプリ「海貝音楽」への安心評価があるのと、このメーカーの製品はどんな音を奏でるのだろうという「ときめき」があるのとで、新作 DAP の HiBy R6 Pro II を選びました。この DAP に関するサイトの説明で、無意味なパワー競争から脱却しイヤホンで最高の音を求める方向に進んだ書いてあるのを見ました。いいですね。

外見

入手にちょっと時間を要してしまいました。
最初に注文した店舗では在庫が無く、予約扱いで待っていたら「更に半月ほど待ってほしい」と連絡がありました。待っても良かったのですが半月後も確約できない様子でした。できれば早めに入手したい状況でしたので、キャンセルして在庫のある店舗から買いました。

開封

開封直前の外箱です。裏面は日本語も記載されています。
バーコードやシリアルはボカしました。箱が汚れていたわけではございませんです。

HIBY R6 Pro II の外箱

箱は蓋を上下に開ける形式です。
開けると DAP 本体が現れます。二層になっており DAP 本体の層を取り外すと下層に付属品があります。インストラクションカードの入った箱を取ると DAP の革ケースが出てきます。

HIBY R6 Pro II 本体の下にインストラクションカードや付属品が入っている

新作の DAP や売れ筋ではない DAP ですと、ケースを選んで買うことは適いません。最初から付属しているのは楽でいいです。

付属品。スペアの保護シート、各種カード、USBケーブルと変換コネクタ。

付属品を写真に収めました。この保護シートは予備です。本体には最初から保護シートが貼付され、あとは外フィルムを剥がすだけで装着完了という状態になっています。

HiBy R6 Pro II 本体

箱から取り出した直後の状態です。貼付済の保護シートには外フィルムが残っています。バーコードやシリアルのシールは保護シート上に貼ってあるため、剥がす際にゴミが残る心配はいりません。写真のバーコードはボカしてありますが、現物は綺麗に印刷されています。

波打つようなデザインにより「本体の上部が下部より厚い」ように見えますが、同じ厚さです。目の錯覚を感じる面白いデザインですが、ケースに入れてしまいますので楽しめるのは今のうちだけです。

箱から取り出した直後の HiBy R6 Pro II 本体

保護シートの外フィルムを剥がした状態

大きさがわかるようにスマホを並べてみました。iPhone 6S Plus とほぼ同じサイズです。この iPhone、古い端末ですが 3.5mm イヤホン端子のある貴重なデバイスです。

(左) HIBY R6 Pro II (右) iPhone 6S Plus

端子など

接続端子は本体下部に集中していまして、上部には何もありません。このことに後々感動することとなりました。

本体上部は何もありません

下部。(左二つ) LineOut (中) USB-C (右二つ) PhoneOut 

アナログアンプに接続できるラインアウト端子があるのが、HIBY の特徴かもしれません。高出力競争から離脱し「イヤホンで高音質を追求しました」「大型ヘッドフォンにはアンプを使ってください」という思想は好感が持てます。向かって左側がアンプに接続するラインアウト、右がヘッドフォンに接続するフォーンアウトです。
誤挿入でイヤホンや耳を壊す恐れがあるため、撮影後ただちにゴムキャップ*3ラインアウトを塞ぎました。
よーく見ると端子上部にラインアウトかフォーンアウトかが書いてあるのですが、印刷ではなく彫り込んであるので目立ちません。爪で削れる印刷で目立つよりこのほうが良いです。
次に、microSDカードの挿入口です。

microSDカードの挿入口

挿入時に奥まで押し込むとカチっとロックされ、取り出すときも奥まで押すと手前に数ミリ出てくるタイプです。挿入口の面が外と揃っていて段差が無いせいか、ゴムキャップはありません。ケースに入れて見えなくなりますし防水でもないので、キャップ無しでも気になりません。

ケース

本体の左右が波打つデザインに合わせ削れているので、その部分がケースではどうなっているか写真に収めました。収納する側に切り込みがあり、この切り込み部分にマグネットが仕込まれていてガチっと接続するようになっています。

切り込みとマグネットにより、本体の挿入がスムーズにできるケース

アプリ、UIなど

Android OS なので電源オンで即再生とはいかないでしょう。諸々確認してみます。

起動直後

言語選択と時刻設定だけで済みました。日本語もファーストビューにありました。

起動直後。日本語も選択できる。

Android OS の設定

OS の設定項目をひととおり確認し、必要な設定変更を行います。
全ての設定について紹介するとすごい量になってしまうので、設定項目の画面を紹介いたします。画像が縦に長くなりましたので、次のアプリ紹介の画面と並べてあります。

デフォルトでインストールされているアプリ

インストール済のアプリを画面に収めました。前項の設定項目と合わせて一枚の画像にしました。ご確認ください。

(左) OSの設定項目 (右) デフォルトのインストール済アプリ

最低限のアプリと言ってよいかと思います。数が少ないので、全て確認して気になるものを無効にしていっても手間でないかもしれません。音楽再生アプリはもちろん海貝音楽です。Google Play ストアがインストール済ですので、必要なものは簡単に加えることができます。

オーディオ設定

OS の設定項目のうち、オーディオの設定だけは画面に収めてみました。
DAC のフィルタ切り替えやアンプ回路の切り替えなど、この機種向けに用意されたものが収められています。

オーディオ設定

各項目の説明はメーカーのサイトに委ねますが、一つだけ想定外で感動した「最大音量」の機能を紹介します。
これは、音量を上げる操作をしたときに「これ以上は音量が上がらない」というキャップを設定する機能です。ここを例えば 30 にしておくと、音量操作で 30 以上にすることが出来なくなります。これにより、意図しない音量アップ、例えば曲送りのボタンを押したつもりが音量アップだったりしたときに、爆音になって耳を傷めてしまうことを防げます。
AK HC2 の記事 [スティック型DAC「AK HC2」でハイレゾストリーミングを気軽に聴く] にて、突然音量が最大になり耳を傷めてしまい医者に診てもらったことを記しましたが、この機能はそのような事故の防止に役立ちます。ユーザー思いの有難い機能です。近年の DAP には見られる機能なのでしょうか? もし、あまり見られないものなら、全ての DAP に欲しいです。

スペック表示

設定画面内にスペックを表示する項目があったので画面に収めました。公式サイトや専門サイトの解説記事で書かれているとおりで補足することはございませんが、主観的な感想として「4000 曲近く入れた状態で海貝音楽のアプリは滑らかに動きましたし、Amazon Music のアプリも問題なく動作しました」と付け加えたいと思います。
インプレッション段階ではスペック的な不満はございませんでした。
サービスに向けて準備中の e-onkyo music × Qobuz でも使用できる可能性を考えて選んだので、今から動作がもっさりしては困ります。問題なくて良かったです。

HiBy R6 Pro II のスペック表示。一部ボカしてあります。

通知パネルにある素敵な機能

時刻やバッテリー残量が表示されている画面上部のステータスバーを下げると表示される「通知パネル」に素敵な機能があったのでご紹介します。

通知バネルにある「Flip vertically」という機能

端子の説明を書かせていただいた際に「下に全部集まっていて上に何もない。後々感動することになった」と書きましたが、この機能がそれです。

これをお読みの方は、イヤホン端子が上にある DAP と下にある DAP、どちらが好きでしょうか。どちらかが絶対的に良くて、どちらかが絶対的にダメというものでもないので悩むかと思います。私は普段は上にある方が嬉しく、椅子に腰かけて曲のザッピング操作をしているときは下にある方が嬉しいです。感覚的には 7割方の操作で上が嬉しく、3割方の操作では下の方が嬉しいです。

この「Flip vertically」をオンにするとこうなります。下の写真をご覧ください。

「Flip Vertically」オンの状態

端子が全て上に集まっている状態に変わりました。片方に端子が集まっていて反対側が平らなことに、こんな意図が込められているとは思いませんでした。
更に凄いことに、筐体が波打つ模様に合わせ削り込まれていますが、これが点対称・対角線上に位置しているため上下逆さにしたときの握り心地まで同じなのです。

上下ひっくり返しても同じ使い勝手という DAP は初めてです。
「なぜ片方に端子を集中させていたか」「点対称のデザインにどんな意図が込められていたのか」この上下反転に感動し、一発でファンになりました。デザイナーがどんな方なのか知りたいです。

音の話を少しだけ

最も大切ですが、もっとも軽率に書けない音の話を少しだけしたいと思います。
イヤホンやヘッドフォンをとっかえひっかえしつつ 5 ~ 6時間ほど聴きました。まだ全然聴いたうちには入りせません。
また、これを言ってしまうと元も子もないのですが、音の決まる支配的な要素はイヤホン・ヘッドフォン側でして、DAP の影響力はさほど強くもありません。
ですので、以下の文章は「あくまで第一印象。今後この印象がどういう風に変わるのか確認するためのメモ」という雑な文章としてお受け取り下さい。

一言でまとめると「クリーンで滑らかだなぁ」という感想です。

癖が無い感じ

JVC のポタアン SU-AX01 や SONY の NW-WM1Z などは音に艶があるという印象をすぐに感じたのですが、この機種は、そういうものがありませんです。手持ちのものだと、Gustard の DAC A18 や Chord の ポタアン Hugo2 の系統に属する印象です。流麗で滑らかだけど分解している感じです。Gustard A18 は、中音域に芯や密度を感じて、それが低音域や高音域にふわっと広がっていくようなイメージがあるのですが、この DAP はそれに近いです。
酷くシャりついた生音の多重録音で暴れまくる高音域をどう裁くかという試聴に、椎名林檎のアルバム「日出処」の NIPPON *4 の間奏を普段使っています。上記の印象がどの程度のものか知るために聴いてみました。かなり抑え気味に鳴らしていました *5
Hugo2 に近いという印象が正確かどうか確認するため、いまいちど聴き比べてみました。Hugo2 には FOSTEX の大型ヘッドフォン TH-909 を組み合わせることが好きなので、敢えて R6 Pro II にも TH-909 を接続してみました。曲は、たまたま目についた H ZETTRIO のアルバム Beautiful Flight のなかから Beautiful Flight です。
結果、確かに似ていました。似ていましたが R6 Pro II のほうが軽かったです。Hugo2 のほうが中低音、ダブルベース*6の音に響きがあります。シンバルの音は R6 Pro II のほうがシャリンとしています。この感想、注意しないといけないのは TH-909 を使っているという点です。R6 Pro II で TH-909 サイズのヘッドフォンを使うこと自体がイケてない可能性があります。この軽やかさが、組み合わせとして不適切なもの故のものか地で何を使っても同傾向なのか、これから確かめていきたいと思います。

ノイズの心配はなさそう

Moondrop の KATO や JVC の HA-FW10000 など手持ちのダイナミック一発イヤホンでは全くノイズを感じませんでした。ノイズ確認のため、敢えて普段使わないマルチ BA のイヤホンを引っ張り出してみました。手持ちの機材に次々と刺し、ノイズが出るもの出ないものとを行き来しました。結果、R6 Pro II はノイズが出ない方の部類に含まれました。

DAP 可のヘッドフォンなら大丈夫か

Focal Stellia は元気に鳴っていました。SONY MDR-Z1R もパッと聴きは悪くなかったです。TH-909 は一曲だけ真剣に聴きました。Gain middle の 30% 音量で充分な音の大きさでした。しかし、重要なのは音量ではなく音の立ち上がりや捌き方です。きちんと聴くと「もう少し」とか「厳しかったか」などと言いたくなる部分が見つかるかもしれません。

アンプの A と AB はわからなかった

アンプの A と AB の切り替えですが、ちょっと試しただけではわかりませんでした。唯一「あっ」と感じたのは MDR-Z1R のパッと聴きの際にバスドラムの立ち上がりが気持ち鋭くなった気がしたときぐらいでしょうか。これも気のせいかもしれません。
UI 操作一発で切り替えられるようにはなっていますがデジタルに変わるものでなくジワっとアナログライクに変わるんじゃないかとか、ノイズ処理や歪に関する効果なら音の消え際を楽しめるような良好な環境下で試さないと感じられないのではないか、等々と言い訳を考えて「ちょっと試してすぐに実感できなかった自分」を慰めました。

おまけ、やっぱり Amazon Music はダメ

過去の記事 [Amazon Music HDをビットパーフェクトで聴く(前編)] にて、Android OS の DAP では Amazon Music をピットパーフェクトで聴けませんと記しました。久しぶりに新作 DAP を買いましたので、状況が変わっていないか試してみました。結果、相変わらずダメでした。どういう挙動か気になる方は、上述の (後編) をご一読ください。
尚、この DAP がダメではなく全滅ですので、その点は誤解なきようお願いします。

Amazon Music は相変わらずダメです

(2023/5/31追記) 音について感じたこと

だいぶ聴きましたので音について曲紹介や判断ポイントを付けながら書きはじめたところ、長文になり終わりが見えなくなってしまいました。このままですと書き上げた頃には「遅すぎた」となりかねないので、結論だけこちらに追記したいと思います。

音源にシビア

優秀な録音には美しく応えますが、そうでもないものは容赦なく鳴らします。過去、CD 音源で「これは良い」と思っていたものを HiBy R6 Pro II で聴くとノイズフロアの高さや僅かな音の歪みなどが耳につき「この程度の音だったっけ」となってしまいました。元々イマイチだと感じていた音源は聴くに耐えなかったです。手元に残している他の再生機が、各々方向性は違えど「イマイチな音源も、それなりに美しく奏でる」能力をもっていることもあり、ここまで残酷な再生機を所有することになったのは初めてです。

定位がよい

手持ちのイヤホンですと平面型の Letshouer S12 を使った時だけ、そして音源を選ぶという条件付きですが、定位が非常に良かったです。アンドレア・バッティストーニ指揮のチャイコフスキー交響曲第5番(Flac 96k)を聴いたとき、各楽器がどの位置で鳴っているかが目に浮かぶように分かり感動しました。ヘッドフォンやイヤホンは管弦楽団のホール録音を聴くことに向いていない、あまり良くないと思っていたのですが、この DAP で考え方を変えました。この DAP に向いていると思いますし楽しいです。

アンプの A と AB は鋭さに出る

ヘッドフォンよりイヤホン、低感度より高感度で差がしっかり出ます。A から AB に切り替えると鋭く荒くなります。ロックとか打ち込みサウンドなら AB が向いていると思います。

今回はここまで

購入後インプレッションと称しまして、入手後の僅かな時間で得られる程度の情報を記事にしました。この製品は、少なくとも過去にあった「やってしまった。私には合わない。新品同様の美品状態で次の方へお譲りする」という結果にはならなさそうです。さっそく持ち歩き使ってみます。使い続けた結果を文章に出来そうになったら、また記事にするつもりです。

この記事を更新中にファームウェアのアップデートが入りました。起動した直後に続き二回目です。結果、曲が終了し次の曲が始まるときにごく小さな「ザッ」という音が入るようになりました。頑張って直してほしいです。

常日頃、開発者の心意気は細部に宿ると思っております。本体いっぱいのスクリーン、下部に集中した端子、点対称の削り込みと波打つデザイン、全てが「上下反転」に繋がっていることにノックアウトされてしまいました。工業製品のデザインで感動したのは久しぶりでした。パワー競争から脱却したことも同様です。
音楽を好きな者が普段から持ち歩くというシチュエーションをデザインで表現できていると思います。

HIBY というメーカーの製品はこれが初めなので知らないのですが、他の製品もこのような「心意気が細部に宿った」製品なのでしょうか。それとも、この製品だけが特別なのでしょうか。これからの製品にも注目したいと思います。

*1:その裏をついて、重く大きくしただけの「見掛け倒し」もありますが、総じて小型軽量で良い音というのは見つからないです

*2:自社の DAP の性能を引き出して最高の状態で聴くことができるようにするのが自社アプリの役割である、というのは [Amazon Music HDをビットパーフェクトで聴く(後編)] にて説明いたしました。

*3:ゴムキャップは付属していません。付属されてもいいですね。

*4:ベストアルバムなどの他のバージョンはリマスタリングで音を整えてしまっています。このテストに向いているのは 96kHz 24bit 版の「日出処」に限ります

*5:暴れているのが悪いとは思いません。この曲の聴き苦しい高音はハイレゾ黎明期の粗削りなマスタリングを感じさせ、それはそれで趣があります。

*6:ウッドベース