オーディオ 試行記録

多くの個人プログやネット記事に助けられました。私の経験を還元したくです。

個人的メモ。イヤーパッドのサイズと装着感。

前回の記事をアップロードしてから半年近くが経ってしまいました。
他の方のお役に立てそうなトピックが見当たらなかったのが筆不精の理由のひとつではあるのですが、それ以上に私事で生じたトラブル対応に追われ、執筆にまとまった時間を割けなかったことのほうが大きいです。
悲しいことに、この私事のせいで記事の執筆どころかオーディオを楽しむ時間さえも碌にとれていませんでした。年後半にかけて取り戻していきたいと思う今日この頃です。

今回の記事は、装着感の目安にしているイヤーパッドの写真を感想と共に並べただけものというお粗末なものです。個人的なメモとして書き殴り、下書きフォルダに置きっぱなしにしていました。これを公開したら「参考になった」とおっしゃる方がいるかもしれないと思い、加筆してみました。
「このサイズを執筆者は小さいと言っているのか。私に問題ないサイズだから、執筆者がキツめだというものが私にはちょうど良いかもしれない」というような相対評価の材料にでも使っていただければと思います。

イヤーパッドの外径・内径

新製品のヘッドフォンが私の耳に合うか、イヤーパッドのサイズが大丈夫かどうか判断するために書き残したものです。とりあえず外径と内径の数値があると「このヘッドフォンのイヤーパッドは私には合わない。音の評判が良くても買っちゃダメだ。」とブレーキを踏むことができます(笑)。
また、改造用としてサードパーティーイヤーパッドを買う際にも「外径と内径が何ミリか」を最も重要な検討材料としているため、これを参考にしています。

SONY MDR-Z1R のイヤーパッド

外径110mm、内径70㎜ぐらいです。この大きさがあると私の耳でも快適です。

内径が大きいと、顔と耳が小さい女性などは装着後にずれる可能性があります。ずれを防ぐためだと悪戯に側圧を高くすれば、こんどは締め付けによる痛みが生じ長時間の装着に適さなくなります。内径の拡大には、イヤーパッド形状やヘッドバンド構造に対する工夫が求められます。「安易に大きくすると却って装着感が悪くなる。それをイヤーパッドやヘッドバンドの工夫で改善できるとは限らない。だからやめておこう。」と考えるメーカーがあってもおかしくありません。

また、イヤーパッドの外径が大きいということはドライバーが大きいことを意味することも多く、このサイズの製品は高級機になりがちです。廉価でこのサイズのものがあれば、それは貴重だと思います。

SONY MDR-Z1R のイヤーパッドサイズ

この機種はヘッドバンド交換の記事で写真を撮っていますので、興味のある方はご参照ください。

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FOSTEX TH909 のイヤーパッド

外径100mm、内径65㎜ぐらいです。このサイズが私の耳で大丈夫なほうのボーダーラインです。これより小さな高級機の購入には注意信号が灯ります。価格を抑えた製品ですと、小さめのイヤーパッドでも「ダメだったら規格外のイヤーパッドで改造すれば…」と腹を括ってトライしてしまいますが (苦笑)。

ところで、これより一回り小さなサイズの高級機というのは意外とあります。メーカーの方におかれましては「このサイズがボーダーライン」「これより小さかったら、どんなに音が良くても装着時の苦痛に耐えられないので買わない」という消費者がいるということを頭の片隅に置いていただけると有難いです。

FOSTEX TH-909のイヤーパッドサイズ

この機種は過去の記事で触れたことがございませんでしたので、写真代わりに商品リンクを貼っておきます。他の記事で「複数のヘッドフォンを所有し気分で選んでいる。使用頻度が低いものは手放す。」と記したことがございますが、こちらの機種はトップクラスの使用頻度でして、手放すことは当分なさそうです。

FOSTEX T60RP のイヤーパッド

外径100mm、内径60㎜ ぐらいです。このサイズだと私にはアウト、10~20分で耳が痛みます。後ほど別枠で写真を貼りますが、このパッドで耳が痛む原因はパッドの厚さ (薄さ) にもあります。内径60㎜ は私にとって「基本的には装着できない大きさだが、厚ければ何とかなる可能性もある」というサイズです。

FOSTEX T60RP

イヤーパッドのサイズが合わず耳が痛む T60RP ですが、サードパーティー製のイヤーパッドに変え快適に使用しております。主な使用シーンは就寝時のベッドです。
就寝時に使用する場合、横になった状態で使用するうえに半分眠っているような状態で外すことが多々ございます。もしかしたら寝ぼけてヘッドフォンをサイドテーブルから床に落とすかもしれませんし、イヤーパッドの皮脂拭き取りは確実に翌朝までしません。
そのため「傷んでもいい」と割り切ったものしか持ち込めず、結果として比較的安価な T60RP がその役割を担っています。

過去 T60RP に関する記事は書いたことがございませんが、スティック型DAC「AK HC2」の紹介時に使用し写真を載せていました。このときの写真がイヤーパッドを取り替えた後の状態でしたのでリンクを貼ります。興味のある方はリンク先の写真をご覧ください。所有していらっしゃる方でしたら純正と比べ厚いの一目瞭然かと思います。

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HIFIMAN SUNDARA Closed-Back のイヤーパッド

既にイヤーパッド交換を記事にしておりますので詳細は省略いたします。外径100mm、内径60㎜ 切るぐらいです。もちろん私の耳にはアウトです。典型的な失敗でした。

HIFIMAN SUNDARA Closed-back のイヤーパッド

しかし、サードパーティー製のイヤーパッドに変え装着感を向上できたため、執筆時点でも居間のヘッドフォン棚に残っております。所有していた他のヘッドフォンの音と似ていなかった点と、たまに聴きたくなるタイプの濃い音だった点も良かったです。同じ平面型の T60RP とは好対照です。
イヤーパッド交換の記事はこちらです。

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イヤーパッドを分解したと上の記事で書きましたが、分解すると二度と計測ができなくなるために厚さを測り写真に残しておりました。

分解する前に測った HIFIMAN SUNDARA Closed-back のパッドの厚さ

その他 サードパーティー製のイヤーパッド

色々と買っては失敗し破棄してきたサードパーティーイヤーパッドですが、まだ利用できそうだと破棄せず残したものが若干ございます。それらを撮影しました。

Chic Tuant イヤーパッド for FOSTEX (フォステックス) TH600 TH900 etc.

外径と内径は TH909 のイヤーパッドとほぼ一緒です。

Chic Tuant のイヤーパッド

こちらのイヤーパッド、内径は問題ないのですが薄いのが私にとっての弱点です。
ATH-WP900 に装着する記事で紹介しましたので、興味ある方はご覧ください。

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Brainwavz のイヤーパッド

内径が 70mm ぐらいあるイヤーパッドです。現在わたしが使用しているヘッドフォンの過半にこのメーカーのイヤーパッドが装着されています。

Brainwavz のイヤーパッド

様々なイヤーパッドを試しても十分な装着感を得られず、サイズが合わないのを承知で無理に変形させ装着したこのイヤーパッドが私にとって最も良かったというケースが多々ありました。
このイヤーパッドについて記事で最初に紹介したのは FOCAL STELLIA のときでした。興味ある方はご覧ください。

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YAXI LTH-900

外径と内径は FOSTEX TH909 のイヤーパッドとほぼ一緒です。穴の形状と厚さが違います。

YAXI LTH-900

もしも、耳の上部で 2~3mm 程度、耳の後(裏)で 2~3mm程度厚いものだったら私の耳でも使いたくなるであろうう、個人的に惜しい製品です。過半の方はこのサイズで問題ないのではないでしょうか。この製品を最初に紹介したのは HIFIMAN SUNDARA Closed-Back の記事でした。

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イヤーパッドの厚さ(高さ)

「装着中に耳がドライバに押され続けると痛くなる」というのは、薄く小さいヘッドフォンを使用したことのある方なら説明不要かと思います。
この痛みを避けるには、イヤーパッドの内径が大きいだけでなく厚いことも重要です。特に側圧が高い・強いヘッドフォンだとイヤーパッドを潰すような力が加わるので、その分の厚さが必要となります。
この文章を書く前にレビューサイトを軽く眺めてみたのですが「耳が当たって痛い」という書き込みのあるヘッドフォンが散見されました。

私にとってボーダーラインである FOSTEX TH909 のイヤーパットを基準に、厚さの比較、いや薄さの比較ができる写真を撮りました。ダメだった方から順に紹介します。

YAXI LTH-900 , FOSTEX TH909 , FOSTEX T60RP の三種比較

画面上方が耳の上になるよう並べています。TH909 と T60RP は耳の後方(裏側)が厚いので、左右対にしてあります。LTH-900 は耳の前後での厚さ変化はなく上下だけです。

(左) LTH-900 , (中央) TH909 , (右)T60RP

画面左 LTH-900 の上下傾斜は耳上方の厚さを犠牲にして実現していることがわかるかと思います。右の薄いイヤーバッド T60RP の上部と変わらない薄さまで削っています。これが、耳の上部が痛む原因です。

FOSTEX TH909 , Chic Tuant の比較

どちらも耳の後方(裏側)が厚い形状のため、左右対にして並べています。

(左) TH909 , (右) ChicTuant

材質や価格が全く違うので写真から伝わる質感の差は致し方ないです。
厚さは写真の見た目以上に違います。私にとってダメな厚さどうしではありますが、T60RPとの比較写真も貼ります。

(左) T60RP (右) ChicTuant

FOSTEX TH909 , Brainwavz の比較

ダメだった方の薄さの比較から大丈夫だったほうの厚さの紹介に切り替えます。

Brainwavz との比較です。同社では耳の前後の厚さが同じものも販売しておりますが、わたしが購入しているものは全て耳後方が厚いものです。

(左) FOSTEX TH909 , (右) Brainwavz

厚さの違いは一目瞭然です。メジャーで厚さを測ってみたところ耳後方の厚い部分は 35mm ぐらい、手前の薄い方でも 20mm ぐらいありました。このぐらい厚いと私の耳でもドライバに接触する心配は皆無です。

おまけ SONY MDR-Z1R 純正と Dekoni との比較

DEKONI から販売されているサードパーティイヤーパッドSONY MDR-Z1R 用のものを破棄せず保管してありますので、写真に収めました。

(左) 純正 (中) Hybrid (右) Sheepskin

DEKONI のものは SONY の純正と比べて仕上げが直線的です。DEKONI のものにも十分な内径と厚さがあり装着感は悪くないです。ですが、凹凸の付け方が曲線的な SONY 純正のほうが、肌に対し圧が分散して良い装着感です。繰り返しますが、DEKONI のものが悪いわけではないです。DEKONI が SONY 純正の半額だと思うと、相応な仕上がりなのではないかと思います。

さいごに

イヤーパッドの内径が 60 mm というのは、普通といいますか業界標準といいますか「とりあえず 60mm で」と乾杯のビールみたいな表現を使いたくなるサイズです。モニターヘッドフォンで有名なオーディオテクニカ ATH-M50x や SONY MDR-CD900ST 等が 60mm です。内径 60mm で薄く、長時間使用すると耳が痛むというところまでがセットで業界標準。スタジオ作業で借りたモニターヘッドフォンが、イヤーバッドがくたびれ気味の MDR-CD900ST だったりしようものなら、耳へのパワハラを受けたようなものです(苦笑)。
仕方ないのは承知しています。モニターヘッドフォンは音を楽しむための道具ではありません。今ちょっと弄ったリバーブがどの程度効いているかを耳で確認する、という「作業用」の道具。ドライバと耳との距離は出来るだけ取りたくない、変に空間があったら微妙な違いを聴き取りにくくなるので。もし楽器ごとの位置関係、空間定位が知りたかったらモニタースピーカーでチェックする。モニターヘッドフォンにはそれを求めない。作業を完遂するためには耳の痛みも我慢する・・・。

この装着感に対する低い要求水準がベースにあり、これより数ミリでも大きければ装着感が良いとかリスニング向きというキャッチコピーが付く、という傾向を感じます。音を鳴らすドライバはここ 10 年で凄く進化していますがイヤーパッドは取り残されているような。
イヤーパッドの内径が 62mm、厚さが24mm で低反発なら良い装着感なのかというと、そうではないだろうと私は思うのです。ちなみに、この数字は FOCAL のイヤーパッドです。「とりあえず 60mm」に 2mm のおまけつけてフルグレインレザーで包んで「優れています」は金持ちを騙す見掛け倒しだよ、と言いたいです。*1

この見掛け倒しを抜け出して、ゼロベースで装着感を追い求めたものには敬意を表したいです。前述で SONYMDR-CD900ST を例に厳しい言い方*2をしましたが、一方では MDR-Z1R には深い敬意を表します。過去、HIFIMAN の SUNDARA Closeb-Back では残念な思いを吐露致しましたが、ARYA にはそこまで残念な印象がございません。FOSTEX TH909  のイヤーパッドは素晴らしいと思いますが、同じく漆塗りのイヤーカップを持つ TH900 用イヤーパッドの 60mm 正円というのは如何なものかと思います。

耳に何時間も添い続けるイヤーパッドは重要なバーツです。ドライバに負けない進化を願ってやみません。

*1:厳しい言い方をしておりますが、FOCAL STELLIA は今でも愛用しております。故の激励でございます。

*2:SONY製品は多くを愛用しております。故の激励でございます。

JVC SU-AX01 用の充電ケーブルを作る

既に数年前に販売が終了し、中古品でさえ流通量の減っている JVC の SU-AX01 というポータブルヘッドフォンアンプ用の充電ケーブルを作成しました。
今更という感覚は非常に強いですが、私のように使い続けている方や中古の掘り出し物を手に入れたばかりという方がいらっしゃるかもしれないので記事に残しておきたいと思います。

作成した SU-AX01 用の充電ケーブル

ポタアンの完成度が高まった時代の製品

JVC の SU-AX01 という製品を簡単にご紹介します。
発売されたのは 2016/11。その一か月前には、SONYウォークマン NW-WM1Z が発売されており、また一か月後には iFi-Audio の micro iDSD Black Label が発売されています。この頃のポタアンは、執筆している 2022/12 時点でも機能不足を感じない完成度の高いものが多いです。

市場に流通するほぼ全ての音源周波数に対応

この時期に中~高価格帯で発売された DAP やポタアンは、PCM で 384kHz以上、DSD で 11.2MHz 以上の周波数に軒並み対応していました。ここから更に 1~2 年前に遡った製品や、同時期でもエントリークラスの製品ですと、PCM の上限が 192kHz だったり DSD の上限が 5.6MHz だったりするものが多かったように記憶しています。
当時ダウンロード販売されていた音源を見ますに、このスペックであれば再生できない音源は無いという状況でした。記事を書いている 2022/12 時点で 6年も経過しているのですが、相変わらず不自由しない状態です。わたしの手持ちの音源も DSD の 11.2MHz が随分と増えましたが、それ以上のものは所有していません。オーディオ機器として音質が好みであれば、今でも当時の製品で十分楽しめます。

いま通用しないものがあるとすると・・・MQA とバランス接続

逆に当時の DAP やポタアンに欠ける面があるとしますと MQA フォーマット対応とバランス接続対応が挙げられるでしょう。

MQA対応

MQA フォーマットについては対応している製品が当時は非常に少なかったです。2016年時点で対応していた製品をパッとは思い出せないほどです。いまは対応する機器が増えました。
一方、音源のほうはといえば 2022/12 時点でもさほど多くはありません。配信であれば TIDAL が MQA なのですが、そもそも日本ではサービスしていません。ダウンロード販売ですと MQA の音源も販売されるようになりましたが FLAC などの PCM フォーマットも併売されております。幸いなことに、欲しい音源が MQA フォーマットでしか売っていないというケースに私は遭遇したことがございませんです。MQA を狙い撃ちで必要とする方を除けば、今でも当時の非対応ハードウェアで不自由しないでしょう。  

バランス接続対応

バランス接続については、MQA のように「不自由しない」とはいかないかもしれません。現在主流の 4.4 mm 5極端子が JEITA の統一規格に定まったのが 2016/3。採用されたウォークマンが登場したのが 2016/10 です。

www.phileweb.com

つまり、2016年の夏までは世の中に 4.4mm 5極端子の製品が存在せず、各社バラバラな端子を使っていました。2.5mm 4極、3.5mm 4極、3.5mm 3極 × 2 など様々でした。この頃の機材をバランス接続で使い続けるには、変換ケーブル等を別途用意しなければならないでしょう。

そして、SU-AX01 でのバランス接続は 4.4mm 5極ではなく 3.5mm 3極 × 2 です。端子選定の経緯がこちらの記事で紹介されておりますので、興味を持たれた方はご参照ください。

av.watch.impress.co.jp

「ハイインテンシティモード」になる USB ケーブル

わたしの文章よりもプロの解説記事ということで、ちゃんとした解説が必要な方は先ほどの記事をご参照願います。
この SU-AX01 は外部給電のときに音質を向上する「ハイインテンシティモード」という仕組みを持っています。外部から給電すると必ずこのモードに切り替わるわけではなく、iPad 対応に対応した 2.1A ( 2.4A ) の Apple 純正アダプターを使用し給電したときのみ切り替わるようになっています。
せっかくのポタアン、せっかくのハイインテンシティモードです。ACコンセントの呪縛から開放されポタアンらしく持ち運べる状態でも、音質が向上したハイインテンシティモードで楽しみたいと考えたわけです。

iPad 高速充電の仕組みと SU-AX01

電力の供給を受ける iPad は、使われているアダプターをチェックして高速充電できるものだと判別すると、自分 ( iPad ) の抵抗値を下げて多くの電流を受けとります。このチェック方法と同じ仕組みが SU-AX01 内にあるため Apple 純正アダプターでの給電したときに限りハイインテンシティモードになります。
上述の解説記事にある「条件に合っていればモバイルバッテリを接続してもハイインテンシティモードに入る」との記載は、Apple 純正アダプターを模した振る舞いをするモバイルバッテリーであれば SU-AX01 はハイインテンシティモードに入る、と読み替えることができます。

市販品で実現する

やはり武骨な自作より綺麗な市販品ということで、Apple 純正アダプターを模す変換コネクターが無いか探したところ、見つけることが出来ました。

こちらの商品、AndroidApple を選択するスライドスイッチがあり、これを Apple 側にして使用しましたら、モバイルバッテリーでもハイインテンシティモードにすることができました。

自作に切り替える

紹介しました変換コネクターで当初の目的は果たせていたのですが、最近になってコネクター部分の出っ張りが気になるようになってしまいました。昔は全く気にしなかったのですが、乾電池駆動の WiiM Mini [ WiiM Mini 用電源の工作 ] を入手してからというもの SU-AX01 の使用頻度が急に高くなりまして、見栄えやコネクターサイズにも拘りたくなった次第です。

2.1A ( 2.4A ) Apple 純正アダプターを模す

市販品を使うなら検出方法を知る必要が無いのですが、自作となると知らなければ始まりません。いつものようにネット検索したところ、複数の方が iPad での高速充電に関する仕組みを調査記事にしてくださってました。ほんとうに有難いです。

それら複数の記事を拝見させていただき「自分としてはこれでやると決めた。正しいか確証は無いのだけど、たぶん動くだろう。」とした配線図を以下に示します。D- に 2.0(V) 、D+ に 2.7(V) 程度の電圧をかけると iPad は高速充電に切り替えてくれるようです。

作ってみることにした配線図

念押しで恐縮ですが、こちらは正式な仕様を確認のうえで設計したものではございません。多くの方の解析記事や説明記事を参考にさせていただき、適当に決めた根拠なきものです。このブログの筆者は、この配線図のケーブルを使っているのだという事実だけを受け止めていただければ幸いです。

ケーブルの工作

作るものは決まりました。あとは部品を揃えて手を動かすだけです。
以後の内容ですが、技術的に難しいことをしていないため詳しい方には説明不要、かつ、はんだ付け自体が手間という方には興味を持てないもののため詳細は省きたいと存じます。

使用部品紹介 ( 購入ないし使いまわし )

毎度のセリフ「加工しやすい部品を選定できれば勝負あり」ということで今回使用した部品の紹介です。

USBケーブルで使用した部品
USB-A プラグ部分

変換コネクタの出っ張りを無くすのが目的の工作ですので、配線図に書いた部分は全て USB-A 端子内に収めます。そんな都合のいいものを販売している店舗さんが無いかネットでずっと探し続けました。遂に見つけることができました。

www.aitendo.com

見つけたから作る気になりました。見つけられなかったら作っていなかったです。aitendo さん、お取り扱い有難うございます。

抵抗

本当は必要な分だけ買いたかったのですが、通販でバラ買いは難しそうでしたので「今後も使うかもしれない」と自分に言い聞かせ Amazon でセット買いしました。

配線図にある抵抗値ですが、最初は違う値でした。このセットが届いた後、含まれる抵抗値に合わせ配線図のほうを変えました。
当初は「とりあえず種類が多いものを買っておけば、直列に複数本並べ狙った抵抗値を作れる」と考えたのですが、最終的には「買ったものに合わせて配線図のほうを変える。」という方法を採りました。だったら種類が少なく安いセットで作れたと記事を書いている今は思います。

その他

頻繁にケーブルの抜き差しをしたくないのでスイッチをつけました。ケーブルは、既にメーカーの回収リサイクルで処分したタブレットに付属していたものをカットすることにしました。買わずに活用できる部品があると少し嬉しいです。

組み立て

配線図どおりに抵抗を並べ、はんだ付けします。
久しぶりの作業であまり美しく出来ませんでしたが写真を貼っておきます。

配線図どおりにハンダ付けする

ここまで出来ましたら、間違ってショートしたり断線したりしていないかテスターを使って確認します。大丈夫そうならモバイルバッテリーと SU-AX01 でハイインテンシティモードになるか動作チェックします。写真は省略しますが、うまくいきました。

動作確認後はケースに入れて完成です。

ケースに入れて完成。部品紹介で記していないEMIフィルターをつけました。

 

完成

実際に使用している様子の写真を撮りました。ハイインテンシティモードの青ランプが光っております。

自作ケーブルを使用した様子。イヤホン HA-FW10000 と組み合わせて。

写真では見切れていますが、上には乾電池駆動の WiiM Mini  [ WiiM Mini 用電源の工作 ] が載ってます。これのおかげで使用する機材が変わりました。Amazon Music HD を気軽に聴くために入手した AK HC2 [ スティック型DAC「AK HC2」でハイレゾストリーミングを気軽に聴く(解説付き) ] の頻度が大きく減り、SPDIF で接続可能な SU-AX01 がそこを埋める形になりました。

写真では折角なのでメーカーを揃えて HA-FW10000 のようなお高めのイヤホンを接続しましたが、今年の夏に2万円ほとで買った中華イヤホン LETSHOUER S12 に SU-AX01 と組み合わせてみたところ、聴いていてうっとりするような音色を奏でました。

ヘッドフォンと比べるとイヤホンは使用頻度が低いため、そもそも使用したことのない組み合わせがあったりします。この機会に意外な発見ができました。

こんなことを書いてしまうと、散財した自分の首を絞めることになりかねないのですが、オーディオはスペックや価格と比例して良いものになるデジタルガジェットとは違いますね。

SONY MDR-Z1R のヘッドバンドを交換する

SONY のヘッドフォン MDR-Z1R のヘッドバンドを交換しました。他の記事でやりました規格外や改造ではなく、純正品への交換です。

交換を意識しだしてから数ヶ月の間、失敗を避けるため「誰か交換の仕方について説明していないか」とネット記事の検索をし続けたのですが、残念ながら見つけることができませんでした。無いものは仕方がないと腹をくくり自力で試行錯誤をしました。私と同様の検索をなさっている方には、この記事を見つけていただければ幸いです。
たまたまこの記事を見つけたという方には、途中で肝を冷やす大失敗が出できますので見て笑って頂ければと思います。

SONY のフラッグシップヘッドフォン

最初に MDR-Z1R というヘッドフォンについて簡単に触れておきます。このヘッドフォンが発売されたのは 2016/10 。随分と前ですが、この記事を書いている 2022/12 時点でも現行モデルのフラッグシップとして販売されています。

SONY MDR-Z1R

流石に販売開始から 6 年も経過していますので、同時にデビューしたウォークマン NW-WM1Z は NW-WM1ZM2 へと代替わりしていたり MDR-Z1R と組み合わせて使用するキンバーケーブル MUC-B20SB1 は販売終了になっていたりと、ビジネス的には次を意識する様相を呈しています。もし代替わりしたら次はどのような製品となるかイメージしますに、NW-WM1ZM2 では内部配線に上記のキンバーケーブルを使い MDR-Z1R と組み合わせて音質の訴求をしております故、音の傾向は変わらず「さらに良くなった」という延長線上のものが登場するのではないかと予想します。
しかし、価格は延長線上ではなく大きく飛躍すると予想します(笑)。MDR-Z1R が発売されたころ、フラッグシップのヘッドフォン価格が 20万円程度というのは相場のような市場環境でした。執筆時点の相場は 50万円前後まで上昇しています。原材料費の高騰や日本以外の各国の経済成長を鑑みますと、部品コストの積み上げと開発費の回収という消費者に対する誠実な値付けをしたとしても、大幅な価格上昇は避けられないでしょう。

「新機種での音の傾向変化」で思い出しました。2016年当時、最上位機種の座が MDR-Z7 から MDR-Z1R に変わった際には、音の鳴り方がガラッと変わりました。衝撃的な変わりようでした。今振り返れば、あのときの英断が 6年ものあいだ SONY の音を背負える強さに繋がったのだと思います。

ヘッドバンド交換の動機

どちらかというと、という前置きつきではありますが私はヘッドフォンの取り扱いには気を遣っている方だと思います。長持ちをさせたいですし、もし手放すことになったら次の方に美品として受け取ってもらいたいとも考えますので、自然と扱いが丁寧になります。
そんな心持ちで日々ヘッドフォンを使用している私が「ここは無理。美しく維持できん。」となったのが MDR-Z1R のヘッドバンド部分です。

他機種より維持難易度 • 高

多くのヘッドフォンを所有してきましたが、ヘッドバンド部分の維持に関しては MDR-Z1R がいちばん難しいと感じています。同じヘッドバンドでも他機種のそれとは異質のもの、別世界のモノを扱っている感じです。 MDR-Z1R の経年劣化を他のもので例えますと、生物の老化に似ています。ヒトが80歳になったとき、50歳代と見間違う肌でいることはできるかもしれませんが中高生のような柔肌でいることはできないのに似ています。他機種のヘッドバンドはモノとして良好な状態を維持できるのですが、MDR-Z1R のヘッドバンドは老化を多少遅らせることしかできない感じです。

装着感の代償ならば無問題

その代わりというわけではないでしょうが、装着感は抜群に良いです。
ヘッドフォンの装着感は音楽鑑賞にとって音質と同等の重要事項です。音質の次ではなく同等です。音質は良いが5分で痛みに耐えられず外したくなるヘッドフォンと音質が劣るが半日装着していられるヘッドフォン、どちらかしか手にできないと問われたら私は後者を取ります。
過去、数分で脳天が痛みだすような高級ヘッドフォンを手にしてしまったこともあるので心から思います。いくら型崩れしない耐久性に優れたヘッドバンドだったとしても、それでは肝心の音楽を楽しめません。

そんな理由により「このヘッドバンドは非常に快適です。その代わり数年で交換が必要です。」というコンセプトの製品は全然アリです。イヤーパッドと同じ消耗品だと考えれば納得できます。他社の製品ではヘッドバンドをイヤーパッドと同じように交換するよう案内しているものもあります*1。いつか交換することになるけど、それなりに長持ちするよう丁寧に扱う。これで良いのではないでしょうか。

そして交換へ

過去記事 [ FOCAL STELLIA に規格外のイヤーパッドを装着 ] で記しました「2ヶ月使用しなかったら、他の方へお譲り」を 5年も回避し続けた MDR-Z1R は、私の使用しているヘッドフォンで最古参の機種となりました。あとから入手したヘッドフォンに押され使用頻度は低下していますが、それでも月に 1 〜 2 回は使用しています。長いあいだ頑張って手入れをし老化を遅らせてきましたが、限界を感じてきました。まだまだ使い続けそうな気がしますので、これからを考えリフレッシュを決意した次第です。

ヘッドバンドの痛み具合

約5年経過したヘッドバンドの状態です。

長いあいだ使用した MDR-Z1R のヘッドバンド部分

写真にありますように、頭に接触する部分が弱ります。
ヘッドバンドのアーチ部分、両サイドと頭頂部では「中身の材質」が違います。写真では黒革で覆われ全くわからないのですが、触るとよくわかります。両サイドは比較的硬めの何かなのですが、頭頂部は柔らかいクッションになっています。
ヘッドバンドなので当然ですが、クッション部分はバネで曲がる力、閉じる力が働いています。そのため、クッションの張りの低下と曲がり皺のダブルパンチで写真のような「クッション部分を狙ったかのようなくたびれ方」をします。逆に言いますと、両サイドや表側は美観を容易に維持できます。

余談 : 中古の MDR-Z1R

大手オーディオショップ、フジヤエービックさんや eイヤホンさんで中古の MDR-Z1R の販売画像をご覧になったことがございますでしょうか。使用感や傷の皆無な美品でも、このヘッドバンド部分だけはくたびれています。ここはどうしようもない感じです。裏を返せば、ここにハリがあるものは使用時間の極めて少ない個体です。オークションサイトで「ほぼ新品」と書いてあるのが真実か見抜くにはココを確認すると良いです。

バーツ入手

今回交換したパーツをご紹介します。記事の主役であるヘッドバンドのほか、同じく長く使用しましたイヤーパッドも交換すべく購入しました。

ヘッドバンド

MDR-Z1R の ヘッドバンドは、残念ながらイヤーパッドのようにユーザーが自分で交換できるものでなく、販売店に相談や修理の依頼をするという取扱いになっています。ですので、一般の流通では取り扱われない修理用部品になります。
一般流通にない以上お店で普通には買うことができないのですが、有難いことに部品取り寄せをオンラインでして下さる店舗さんがありました。感謝です。

www.callonlineshop.com

イヤーパッド

イヤーパッド交換は消耗品のメンテナンスとしてだけでなく、装着感向上や音質変化を狙うという楽しみもあります。MDR-Z1Rでも、楽しみを目的として過去にトライしたことがありました。

過去にトライしたイヤーパッド。DEKONI Hybrid と Sheepskin。

今回はヘッドバンド交換によるリフレッシュが主役なので、写真のイヤーパッドによる音質変化については省略しますが、結果としては純正品を使い続けています。ですので、今回のリフレッシュ目的では純正品を購入しております。
一般流通しているものですので、大手オーディオショップを中心に複数の店舗で購入できるかと存じますが、私は購入時点でたまたま在庫を持っていらっしゃった eイヤホンさんにて購入しました。

お値段・・・

お金の話を扱うのは難しいと感じつつ、かといって無視できるほど安価でもないので簡単に触れておきます。ヘッドバンド、イヤーパッドL、イヤーパッドR の3点。各々約1万円で、3点合計すると3万円とちょっとの費用が必要です。破損や故障ではなくリフレッシュですので交換しなくても使い続けることはできます。「多少くたびれてはいるけど、壊れたわけではないので、もう少し使い続けるか」と思う方もいらっしゃるのかなと思います。お安い店舗ですと、リフレッシュ費用で SONY のモニターヘッドフォン MDR-M1ST が買えてしまいますからね。

ヘッドバンド交換

ブログ記事などでの事前確認ができませんでしたので、交換の仕方については手元にある MDR-Z1R と届いた部品を比較しながら検討しよう、いや届いてから検討するしかないと腹を括り部品到着を待ちました。注文後、1週間かからず届きました。

開封

MDR-Z1R のヘッドバンド

修理用部品なので流通事故を防ぐビニールクッションだけなのかと思っていたら綺麗な紙箱に入っていました。既製品のようなデザインされた梱包でないのは当然ですね。

交換用ヘッドバンドの開封直後。シリアル番号はボカしてあります。

殆どのヘッドフォンが、耳の位置にイヤーカップを合わせられるようヘッドバンドの長さを調整できるようになっているかと思います。MDR-Z1R では、その長さ調整用の軸の左側のほうにシリアル番号が刻印されています。
そのため、修理用部品のヘッドバンドには左右の調整用の軸部分を含めず、主要部分であるアーチ状のものだけが届くのかと想像していました。しかし、結果は異なり調整用の軸やカチカチとした調整機構もついているものが届きました。
それだと正規のシリアル番号の刻印された軸が使用されなくなるが良いのだろうかと疑問に思い確認したところ、修理用部品にもシリアル番号が振ってありました。ゼロ発進の正規のシリアル番号とは明らかに異なる桁の多い番号でした。きっと修理部品専用の番号でしょう。

届いたパーツを見た結果

  • 左右の調整用の軸とイヤーカップを繋ぐ部分で交換する
  • 接続用のネジは元のヘッドフォンのものを使用する

と理解できましたので早速作業に移ります。

交換作業

イヤーカップを外す

古いヘッドバンドからイヤーカップ部分を丸ごと外します。

MDR-Z1Rのイヤーカップ部分を丸ごと外す。

前項で記しましたが、当初は長さを調整する機構は含まれないと思っていたので、上記写真の赤丸で記したネジを外すことも想定していました。そのために、該当のネジを外せるよう六芒星型のドライバであるトルクスドライバも用意していましたが使わずに済みました。
写真の黄色の丸で記しましたネジをプラスドライバーで外します。

外したイヤーカップ・ドライバー部分の確認

ヘッドバンドを外した状態はこちらです。

ヘッドバンドから外したMDR-Z1Rのイヤーカップ

イヤーパッドの交換時に見ることができますので、所有していらっしゃる方にはお馴染みのものかと思います。

続けて、ヘッドバンド内に隠れていた機構部分のアップ画像です。紛失と使用箇所が変わってしまうことを防止するため外したネジを軽くつけています。

イヤーカップとヘッドバンドを繋ぐ機構部分のアップ。

せっかくの機会なので、ふだん掃除しにくいところを丁寧にクリーニングしておきます。当然ですが、ものすごく手入れしやすいです(笑)。

ヘッドバンドの確認

念のためヘッドバンドの構造が一致するか確認します。余計な部品が付いていたり無かったりしたら外す場所を間違えたことになるので、念のためではありますが大事な確認です。確認したところ、大丈夫だったようです。

古いヘッドバンドと新しいヘッドバンドを並べた写真を貼ります。どちらが古いものでどちらが新しいものかわかりますでしょうか ? よく見れば全然違いますが、パッと見だと、差が小さく感じるかと思います。これが写真ではなく肉眼だと全然違うんですよ。雲泥の差です。黒いものの写真はわかりくいですね。

A. ヘッドバンド上部の比較

B. ヘッドバンドの側部の比較

C. ヘッドバンド表側の比較

Aは上の方が古く、B と C は左側のほうが古いです。なお、C は肉眼でも見分けがつきにくいです。

イヤーカップの取り付け

ネジ2本だけのシンプルな構造ですので取り付けも簡単です。イヤーカップ、ヘッドバンドの双方に、L R と表示がありますので左右を間違える心配もありませんし、接続部分も裏表非対称のアーチ型なので誤った方向にしてしまうこともありません。

誤った方向には差せない形状

差してネジ止めするだけ。シリアル番号はボカしてあります。

ネジ止めするたげですが作業中の写真を一応撮りました。外した時の手順を逆にするだけなので間違えにくいと思います。
実はこの時点でミスをしていたのですが気づいていませんでした。非常に危険なミスで最悪はジャンク品になるところでした。記事の最後で触れます。

完了

左右の2本ずつ、計4本のネジ止めのみで完了です。細かく確認しながら作業し、かつ記事掲載用の写真も撮ったので時間を要しましたが、全て知ったうえでこの作業をしたら、恐らく 10分とかからないと思います。

新品のヘッドバンドになった MDR-Z1R

イヤーパッド交換

こちらは修理ではなくユーザーが交換できるようになっていますので簡潔に記します。

開封

一般流通しているとはいえ、付属品や消耗品という扱いだからでしょうか。シンプルな梱包でした。

MDR-Z1R 用イヤーパッド

SUNDARA Closed-Back のイヤーバッドに関する記事 [ HIFIMAN SUNDARA Closed-Back に規格外のイヤーパッドを装着 ] で触れましたが、このイヤーパッドの構造は非常に凝った作りになっています。耳の前方より後方を厚く、更に後方でも下部に行くほど厚くなっています。

MDR-Z1R のイヤーパッド。左は下側が見えるよう、右は上側が見えるよう配置。

耳後ろの下側と上側が比較できるように並べてみました。手のひらの親指の付け根のような柔らかいカーブのふくらみが印象的です。

装着

丁寧な説明書が添付されていましたので、私の拙い文章は省略いたします(笑)。

MDR-Z1R のイヤーパッド交換のしかた
新古比較

作業中に新しいものと古いものとを比較してみました。どの程度の差に感じますでしょうか。

新しいものと古いものを比較

どちらが古いかは自明だと思います。左が新しく、右が古いです。表側を写した上の画像を比較すると、右のものの革にはくたびれた感じがあると思います。この程度ですと、中古販売では使用感はあるが美品などと表現しそうです。写真下、裏目を見ますと右の方には皺が多いのがわかります。目につかないし耳も接しない裏面はくたびれ方がはっきりと出るようです。
"お値段・・・"という段落で話題にしましたが、この程度のくたびれ具合で交換するは如何なものかという疑問がつきまといます。価格も勿論ですが、大前提として壊れて使えなくなったわけではございません。ものを大切にする意味でも、取り替える必要があるのかを問う意味でも疑問です。

しかし、イヤーパッドについては、見た目では全くわからない、交換してみたらわかったことがございます。クッションの弾力が全然違いました。並べて指で押したのですが、反発力が驚くほど違いました。当初は、古い方を取っておくとか新旧ローテーションして使うなどとも考えていたのですが、即座に雲散霧消しました。なまじっか丁寧にメンテして綺麗だと別の劣化が隠されてしまうのですね。やはりイヤーパッドは消耗品です。早めの交換をお勧めします。

リフレッシュ完了

ヘッドバンドに続きイヤーパッドも交換し、リフレッシュ作業が完了しました。まるで新品のようです。といいますか、革部分は全て新品です。

リフレッシュ作業が完了した MDR-Z1R

事故発生

作業が完了したところで、机でも片付けようと、MDR-Z1Rをヘッドフォンスタンドにかけました。そうしたら、右のイヤーカップ部分が丸ごと「ポロッ」と転げ落ちました
仰天し慌てて拾い上げました。見ますと、ありえない外れ方、破損や欠落としか考えられないような外れ方をしているではありませんか。とにかく「元の状態に戻せるか甚だ疑問の状態」という最悪の事態を招いたことだけは理解できました。

転げ落ちた右側イヤーカップ

唯一の心当たり

そもそもネジ4本の簡単な作業です。写真にあるような、ヘッドバンドを繋ぐ機構をイヤーカップと分離させる作業工程はありませんでした。外れてはいけない箇所が外れてしまったのです。

これが、気づかぬうちに何処かを破損させたせいだとしたら直らない。差してもポロっと落ち続けるでしょう。気づかぬうちに部品を欠落させたのなら、その部品を見つけ出せれば元に戻せる可能性がある。

後者には心当たりがありました。
イヤーカップを外したあと丁寧にクリーニングしました。作業中、カランと小さな金属の何かが落ちたような音がしました。すぐに床に這いつくばって確認したのですが、何も見当たりませんでした。外したネジもきちんと差してありました。
たまたまではありますが、床を綺麗にしてあり落ちたものがあればすぐに見つけられる状況でした。なので、見当たらなかった際に「んー、机の上にあった関係のない何かを落としたのかもしれないな。ヘッドフォンの部品じゃないなら別にいいや。気のせいだったかもしれないし。」と自分の中で結論付けていました。

転げおちたイヤーカップを見て「あれは気のせいじゃなかった。ほんとうに部品を落としたんだ。」と確信しました。

床清掃

あらためて床を確認するにしても、クリーニング中に落下音を聞いた際に床に這いつくばり、何もないことを確認しています。同じことをしても部品が出てくるわけがありません。そもそも、部品の紛失でなく破損の可能性もあります。とはいえ、このまま何もせず MDR-Z1R を使用不能で放置はあり得ず、床の隅から隅まで乾拭きしてパーツ探しをしてみることにしました。

タンスの裏、机の脚陰など、普段は清掃が行き届かない場所をくまなく拭いた結果、キャスター付きワゴンの下から小さな金属片が出てきました。たぶんこれだろう、これしか出てこなかったのだから。これでダメなら終わりだという一縷の望みに賭けました。

掃除して出てきた数ミリの金属片

原因究明

今回の作業工程で写真を沢山撮っていたことが幸いしました。写真を追うことで、原因がこの金属片で間違いないことがわかりました。この記事の上部にあるヘッドバンド交換の段落、イヤーカップを外した写真でも欠落した様子がわかります。

金属片が欠落した状態

金属片が欠落して、嵌るような窪みが露呈している

組み立て直し

金属片が見つかって、原因がわかって本当によかったです。ヘッドバンドに残ってしまったパーツを取り出して再度組み立てます。

ヘッドバンドに残ったパーツを取り出し組み立て直し

作業完了

今度こそ本当に作業完了です。ケーブルを繋いでヘッドフォンスタンドに置いてもイヤーカップが転げ落ちることはなくなりました(笑)。

金属片を取り付け、今度こそ作業が完了した MDR-Z1R

もうイヤーカップは落ちません(笑)

さいごに

肝を冷やすアクシデントはありましたが無事にヘッドバンド交換ができました。何故ヘッドバンド交換が修理扱いなのか、作業を終えた今ならよくわかります。万人が事故なく無傷でできる作業ではないですね。もともと、丁寧な扱いを要する高級品ですし、それに加えてあの金属片ですから。
粗雑に扱えば音のチューニングも狂うでしょうし、バーツを紛失してしまったら使えなくなってしまいます。

保証対象外になっても構わないという方以外は、なさらないほうが良いかと存じます。とはいえ、やってしまえば新品同様の仕上がりが待っていますので、トライしようか迷っていた方は、この記事を参考にご検討ください。

余談 : 古いイヤーパッドの処分前に

古いイヤーパッドの処分前にリングパーツを取り出しました。このパーツ、いつか役立つときが来るかもしれないです。

リングパーツは大切に保管することにしました

*1:私の所有経験のあるものですと TAGO STUDIO の T3-01 は「早めのヘッドクッションの交換」を案内していました